女性には「ケアワーカー」の適正あり…学術的に証明 職業選択の時代でも「ケアワーカー」を選ばざるを得ない実情

「ケアの倫理」という言葉を知っていますか。女性が「家庭の天使」と言われた時代に比べ、現代は…。女性とケアの関連性を改めて考えてみたいと思います。

自由な職業選択の時代でも 「ケアワーク」に行きつく事情が…

 令和においても男性よりも女性の方がケアワークに従事している傾向にあります。総務省統計局による調査「ライフステージでみる日本の人口・世帯」では、男性と女性における産業ごとの就業者の割合が明らかになっています。男性は「製造業」(20.2%)が「その他」(22.8%)に次いで多い一方、女性は「医療・福祉」が22.6%と最多です。なお、男性における「医療・福祉」の割合は6.0%と一桁台にとどまっています。

 こうした背景には、女性の方がケアワークに関心を抱きやすいという肯定的な理由だけでなく、社会における負の側面の影響が懸念されるような気がします。例えば、地方では職業の選択肢が少ないため、妻が夫の仕事の都合で地方に移住することになればケアワークも選択肢に含める必要が出てくることもあります。あるいは、子育てや介護などで空白期間が長くなれば選べる職業が少なくなることもあるため、門戸を大きく開いているケアワークが1つの選択肢になるケースもあるでしょう。

 働く上でさまざまな制約がある女性にとってパートタイムでの募集枠も多く、中途採用にも積極的で、地方にも求人が多いケアワークはある種の受け皿としてみなせるのかもしれません。

ケアワーカーは人間社会の基盤を支える仕事…ケアが必要ない人はほとんどいない

 ケアワーカーの存在がなければ、今の生活が立ち行かなくなる人は多いと思います。また、現在、ケアを受けている人の中にはケアワーカーの存在を心の支えにしている人もいるでしょう。私たちはケアワーカーに依存し、甘えつつも、そのありがたさには、なぜか気づけていないのかもしれません。

 ケアワーカーを取り巻く環境はよいとは言いがたく、賃金の安さをはじめ改善が必要な問題は少なくないと考えられます。その背景には、現代社会においては資格職ですが、高齢者や子どものケアが家庭内の無賃金労働と結び付けられてきた歴史があります。それだけでなく、高齢者施設や保育施設は経済的利益を生み出すことを目的にしているわけではないため、従業員に支払える給与が限られているのが現状です。

 私たちは家庭内外において相互依存の関係にあることを思い出し、ケアを受ける側だけでなく、ケアを提供する側の声にも耳を傾ける必要があると思います。また、ケアを受けていないと思っている人も、他者からのケアを多かれ少なかれ受けていることも珍しくありません。今一度、ケアについて考えてみるのも、よいかもしれません。

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