日本人の三大疾病はがん、心疾患、脳血管疾患といわれています。そのがんのなかでも、大腸がんは日本人のがんによる死因の第3位の疾患です。
どのようなことが、がん発生の要因となるのか知ることで、少しでも予防ができるといいでしょう。ご自身の異常に気が付くことがが大切ながんでもあります。
どのような症状が出るのかわからないと異変に気付けませんので、ぜひ最後まで読み参考にしてください。
≫「大腸がん」を発症するとどんな「血便」が出る?初期症状も医師が徹底解説!
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
大腸がんとは?
大腸は1.5m〜2m程の臓器で、食べ物の最後の通り道です。直腸がんと結腸がんにわけることもできます。大腸がんは50歳代から年齢が上がるにつれて罹患率が高くなるがんです。
男性の死亡率第3位、女性の死亡率第1位のがんでもあります。ただし男性の方が女性に比べて罹患率、死亡率は2倍程高いです。大腸がんのほとんどは良性ポリープである腺腫が、がん化してできるものだといわれています。
大腸ポリープは粘膜の一部がイボのように盛り上がることによってできます。小さいうちは腺腫と呼ばれる良性なできものですが、大きくなるに従い、性質が変わり腺がん化するのです。その他にも、正常な粘膜から直接できるものとがあります。
直接粘膜にがんができるので、表面が平らだったり、へこんだ形をしていることがほとんどです。これはデノボがんといわれています。粘膜表面に直接できるので、早い時期から周囲組織への浸潤をすることがほとんどです。
大腸がんは粘膜下層までにとどまるものを早期大腸がん、粘膜下層より深くに浸潤しているものを進行大腸がんといいます。がんのステージでいうと、早期大腸がんはステージIの粘膜下層の浅い浸潤のものをさします。ステージIのなかでも粘膜下層の深い浸潤のもの、ステージII以降は進行がんです。
診断までの流れは、健康診断で便潜血が陽性だったり、血便の症状があったりと大腸がんが疑われる場合に大腸内視鏡検査を行います。その検査でがんと疑わしい組織を採取し、病理検査にかけ、がん細胞の有無や状態を詳しく調べます。
それにより大腸がんと診断されたときには、がんの位置や深さ、転移の有無を調べる検査を行うのです。その検査とは、大腸造影検査や超音波検査、CT・MRI検査です。ここまで精密に調べて、大腸がんの病期を確定し、治療方針が決められます。
早期大腸がんの治療は、内視鏡治療を行うことが一般的です。進行がん以上では患者さんの身体状態やがんの形状などを考慮し、手術や薬物療法、放射線療法を行います。
大腸がんの原因・危険因子
大腸がんの原因と危険因子には、下記のものが考えられています。
推奨の摂取量や計算方法も記載しましたので確認し、ご自身の生活を振り返ってみてください。
運動不足
運動不足になると腸の動きが低下した結果、腸内に便が長くとどまります。
腸が便に含まれる発がん性物質にさらされる時間が長くなるのが原因と考えられています。1日40分程度の軽い運動を心がけましょう。
野菜・果物の摂取不足
食物繊維の摂取は、大腸がんのリスクを下げる可能性があるといわれていますので、摂取不足はがんのリスクを高める可能性があります。
世界がん研究基金・米国がん研究協会では、1日400g程度の野菜と果物を摂取することを勧めています。
肥満
肥満だと大腸がんのリスクが高くなります。痩せすぎはがん全体のリスクをあげることになります。
BMIの計算方法は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です。男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲の適正体重になるように体重管理をするのがよいでしょう。
飲酒
男女ともに一日に純アルコール量23g以上の飲酒をする人は、大腸がんが発生するリスクが高くなります。
純アルコール23gとは日本酒なら180ml、ビールなら633ml、ワインなら200mlが目安です。
加齢
大腸がんと診断された人のほとんどは60歳代以上ですが、大腸がんにかかる人は40歳から増え始めます。高齢になる程リスクは高くなります。
配信: Medical DOC