7、離婚に応じる際のお金のこと
これまで、離婚を回避するための様々な方法等についてみてきましたが、一方で「いずれは離婚することになる」という視点も重要です。
たとえば、あなたがいくら離婚をしたくないと思っていても、相手が出ていってしまい別居が一定期間に達するとそれだけで、法定離婚事由のひとつである「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められてしまします。
そのため、離婚を回避しつつ、場合によっては離婚に応じることも考えるという柔軟な姿勢が求められるでしょう。
そして、離婚に踏み切れるかどうかの一つの大きなポイントが、離婚をしても生活をしてくことができるか、つまりお金の問題です。
ここでは、離婚にあたって問題になりうるお金の問題について触れたいと思います。
(1)婚姻費用
離婚前に別居をしている場合に、相手方からもらえる月々の生活費のことです。
(2)財産分与
離婚に際しては、夫婦が婚姻後共同で増やした財産を半分ずつに分けることになります。
これが財産分与です。注意が必要なのは、婚姻後増えた財産といっても、たとえば相続で得た財産のように、夫婦が協力して増やしたと言えない財産は基本的には対象にならないことです。
(3)慰謝料
これは常に問題になるわけではありませんが、たとえば不倫のようにどちらか一方だけが離婚の原因を作った場合に問題になります。
しばしば離婚の原因で挙げられる性格の不一致はどちらかが一方的に悪いとはいえないので、離婚の原因がこれだけということであれば双方慰謝料を獲得することはできないでしょう。
(4)養育費
夫婦間に未成年のお子さんがいる場合、親権者にならなかった親は子どもに対して、基本的に20歳になるまで、お子さんの生活費・学費の一部として養育費を支払う必要があります。
(5)年金分割
年金分割とは、夫婦それぞれが支払った厚生年金保険料を一定の割合で分割する制度です。
(6)その他
これらのほか、公的な補助金等ももらえる可能性があります。
詳しくは「弁護士解説!専業主婦が離婚してもお金に困らない7つの方法」をご覧下さい。
8、離婚したくないときに使える奥の手!
最後に、絶対に離婚したくないときに大きな効果を発揮する3つの「奥の手」をご紹介します。相手方から離婚を突きつけられたときから、夫婦関係の修復を図るときまで使える奥の手ですので、ぜひご確認の上、ご活用ください。
(1)とにかく離婚に同意しないこと
これまでにもご説明してきましたが、離婚を突きつけられてもとにかく同意しないことが重要です。同意すると、その時点で離婚が成立してしまいます。たとえ法定離婚事由がある場合でも、すべての人が離婚調停や離婚裁判を起こすわけではありません。離婚調停や離婚裁判を起こすには多大な労力がかかりますので、離婚を拒否し続けるパートナーと結婚生活を続けているというケースも数多くあります。
(2)別居にも応じないこと
離婚を拒否し続けていると、相手方から「とりあえず別居しよう」と提案されることがありますが、これにも応じないようにしてください。先ほどもご説明したように、別居が一定期間継続すると離婚が認められるようになるからです。一般的に、5年~10年にわたって別居が続けば婚姻関係が破綻している証となり、離婚が認められるケースが多くなっています。相手方は、これを狙って別居を提案している可能性があります。夫婦には同居する義務があるのですから(民法第752条)、あなたが相手方に対してDVやモラハラを行っているなどの特段の事情がない限り、別居に応じる必要はありません。
(3)円満調停で解決する
最後に、家庭裁判所の手続きを使って夫婦関係を修復する方法もあります。それが「円満調停」です。円満調停とは、正式名称を「夫婦関係調整調停(円満)」といい、離婚調停とは逆に、どうすれば夫婦関係を修復できるのかを話し合う手続きです。調停委員が間を取り持って話し合いを進めてくれるので、冷静かつ建設的な話し合いが可能となることでしょう。
離婚したくないことに関するQ&A
Q1.離婚したくなくても相手からの離婚要求には応じなくてはいけない?
結論から言えば、法定離婚事由があるかないかによって異なります。
法定離婚事由があれば最終的に離婚に応じざるをえないということになりますが、逆に言えば、法定離婚事由がなければ相手方の離婚の要求に応じる必要はないのです。
Q2.離婚したくない場合にはどのように行動したらいい?
まずは冷静になる
相手方が離婚したいと思っている原因を知る
自分の気持ちを見つめてみる
相手方を変えようとしない
離婚届不受理申出をしておく
Q3.離婚したくない場合に夫婦関係を修復できるケースとは?
不倫や浮気はない
経済的な問題
子どもに愛情がある
生活費を入れている
DV・モラハラがない
まとめ
今回は、相手が突然離婚を切り出した場合にこれをどう回避するかということについて説明してきました。
基本的には相手方の言う通りに離婚が認められるケースは少ないですから、落ち着いてあなたの考えを相手に伝えしっかりと話し合いを行うことが重要でしょう。
また、仮に離婚となった場合も想定し、柔軟な対応を行えればなお良いと言えます。
分からないことや困ったことがあれば、一人で抱え込まずに弁護士に相談するとよいでしょう。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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