3、仮処分手続きを利用するための要件
仮処分手続きを利用するには、一定の要件を満たしている必要があります。
仮処分手続きの要件は、「被保全権利」と「保全の必要性」です。
これらの要件を満たしていなければ仮処分手続きを利用することは出来ません。
(1)被保全権利の存在
被保全権利とは、仮処分手続きにより保全されるべき権利のことを指します。
仮処分手続きを行うのであれば、権利が侵害されている、もしくは侵害される恐れがある権利があることが前提になります。
(2)保全の必要性
保全の必要性とは、権利の侵害や危険を避けるために緊急の措置が必要かどうかということを指します。
仮処分が認められれば相手は権利が制限されて大きな影響を受けることになるため、保全の必要性も考慮されます。
保全の必要性の判断基準には、債務者の財産や収入、職業、地位などが挙げられます。
4、仮処分手続きの流れ
仮処分手続きは、訴訟の結果を待つことができないような状態の場合に利用します。
仮処分手続きを利用した場合、どのような流れで手続きが進むのか見ていきましょう。
(1)裁判所に申し立てをする
仮処分手続きを利用するには、「仮処分申立書」を作成して地方裁判所に提出します。
申立てを行うには、「被保全権利」と「保全の必要性」を疎明する必要があります。
また、証拠書類も一緒に提出する必要があるため、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。
(2)裁判所による審理
申立書が受理されると、審問期日が決められます。
そして、審問期日には裁判所にて審問が開かれます。
答弁書を提出して互いの主張に反論を行いますが、弁護士に依頼している場合には当事者が裁判所へ出廷する必要はありません。
(3)担保金の支払い
審理を経て裁判所が仮処分の申立てを認めた場合、裁判所が決定した担保金を供託しなければならないケースがあります。
担保金とは、違法もしくは不当な仮処分が執行されることで債務者に損害が生じた場合の損害賠償を担保するものです。
担保金は目的物の価格の15~30%が相場となり、通常は裁判の結果が出た後に手続きを行うことで還付を受けられます。
担保金の有無や金額は、裁判所の裁量にて決定されます。
(4)仮処分命令の発令
裁判官が仮処分命令を出す要件を満たしていると判断すれば、仮処分命令が発令されます。
担保金の支払いが命じられている場合には、担保を供託することで仮処分命令の発令手続きが行われるようになります。
しかし、担保提供期間内に担保が立てられなければ申立てが却下されてしまうので注意が必要です。
配信: LEGAL MALL