5、仮処分と通常の裁判の関係性
仮処分とは、通常の裁判の結果を待っていれば損害や危険が生じる恐れがあるために行われる手続きです。
仮処分と通常の裁判の違いや、仮処分から本訴(通常の裁判)を行うタイミングなど関係性について解説します。
(1)仮処分と通常の裁判の違い
仮処分はあくまでも仮の処分であり、暫定的な措置です。
そのため、通常の裁判が行われて結果次第では仮処分の判断が覆されてしまう可能性もあります。
一方で、本訴の結果は絶対的な決定事項です。
そのため、仮処分のように結果が覆るようなことは基本的にはありません。
また、仮処分は仮の処分になるので早く結論が出ますが、本訴は数カ月~数年という時間がかかるという違いもあります。
(2)仮処分から本訴を行うタイミング
本訴の結果を待つと不利益や損害が生じることを防ぐために仮処分手続きが利用されます。
そのため、一般的には仮処分手続きを行ってから本訴が行われます。
しかし、本訴前に仮処分を行わなければならないという規定はないため、仮処分と本訴を同時に申請することも可能です。
(3)仮処分だけで本訴を行わないこともできる
仮処分は本訴を行うことを前提に申立てが行われますが、仮処分だけで本訴を行わないという選択も可能です。
仮処分だけで目的が達成できるようなケースでは、本訴を行わないようなケースもあります。
しかし、本訴を行わない場合には債務者から「起訴命令の申立」が行われる可能性があります。
起訴命令とは、債権者に対して裁判所が本訴を提起するように命令することです。
起訴命令が出た場合には本訴を提起しなければならず、本訴を提起しなければ債務者は仮処分命令を取り消すことができるようになります。
6、仮処分の申立てにかかる費用
仮処分の申立てを行う場合、かかる費用は「実費」と「担保金」と「弁護士費用」です。
裁判所に申立てを行うには手数料として数千円~数万円の収入印紙や、数千円の予納郵便切手が必要です。
また、仮処分命令が発令されることになれば、前述しているように担保金を供託しなければなりません。
そして、仮処分の申立てを行うには知識が必要となるため弁護士への依頼を行うことが大半ですが、弁護士費用として着手金や報酬金が発生します。
具体的な金額については、法律事務所へお問い合わせください。
配信: LEGAL MALL