3、シタ側・サレた側|PTA不倫対処の注意点
PTA不倫は、一般的な不倫よりもかなり厄介な関係です。そのため、PTA不倫に対処する際は、シタ側・サレタ側ともに、慎重に行動する必要があります。
(1)PTA不倫シタ側の注意点
まずは、PTA不倫を「シタ側」が注意すべき点についてみていきましょう。
① 相手の家族との再出発は容易ではない
PTA不倫をシタ人の中には、不倫相手を愛しているし、相手の子供も良い子だし、再婚できないだろうか、と考える人もいるでしょう。
しかし、不倫相手の家族との再出発は、容易ではありません。
PTA不倫では、自分の家族も相手の家族も同じ学区内にいます。
そして、ママ友や学校関係者、近所の人など、共通の知人が沢山います。
そういった状況で「PTA不倫をして離婚になり、不倫相手と再婚」となると、その地域で噂の的になることは火を見るよりも明らかです。
PTA不倫をし、双方の家族を壊したうえでの再婚を心から祝福してくれる人は、少ないでしょう。
周りの人の態度が変わったり、陰口を言われたりすることがあるかもしれません。
子供がいじめられる可能性もあるでしょう。
相手の家庭を壊したうえでの再婚・再出発は、容易ではないことを覚悟しておきましょう。
② 傷つける人数が多い
PTA不倫は一般的な不倫に比べ、傷つける人が倍になるケースがあることにも注意が必要です。
例えば、既婚者と独身者の不倫では、配偶者と自分の子供を傷つけるだけですむことがほとんどです。
これに対してPTA不倫の場合、配偶者と自分の子供はもちろん、相手の配偶者と子供も傷つけてしまいます。
不倫相手が配偶者と子供の関係者であるとなると、一般的な不倫に比べ、PTA不倫による精神的損害はかなり大きなものになるでしょう。
不倫(不貞行為)による精神的損害は、民法上、損害賠償の対象です。
【不法行為による損害賠償】
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法
PTA不倫は精神的な面だけでなく、経済的にも大きな代償が待っていることを理解しておきましょう。
③ PTA不倫の噂が広まらないようにする
PTA不倫は、「家族」や「地域」がベースにある関係です。そのため、PTA不倫の噂が広まると、罪のない配偶者や子供たちの精神的損害は、さらに大きなものになってしまいます。
配偶者や子供の精神的損害を最小限にとどめることは、自分の賠償責任を軽減させることにもつながります。
自分や相手の家族を必要以上に傷つけないためにも、PTA不倫の噂が広まらないよう最善の注意を払いましょう。
(2)PTA不倫サレタ側の注意点
次に、PTA不倫をサレタ側が注意すべき点についてみていきましょう。
① 自分を責めない
PTA不倫は、配偶者の不倫相手が、よく知っている人であることがほとんどです。そのため、不倫の事実が発覚すると、「自分の何が、彼女(彼)に負けていたのか」と自分を責めてしまいがちです。
もちろん、夫婦関係の再構築を目指すのであれば、自分にも原因がなかったのか振り返ってみたり、なにか悪いところがあれば直したり、といった気持ちをもつことは大切です。
しかし、あなたはあくまでも被害者であり、悪いのは不倫をした配偶者です。自分を責めることは、やめましょう。
必要以上に自分を責めると精神的に不安定になったり、正常な判断ができなくなったりすることもあります。
PTA不倫が発覚した後は、自分を責めすぎず冷静さを欠かないようにし、強い気持ちをもって話し合いなどを進めることが大切です。
② 離婚を急がない
配偶者と不倫相手が同じ学区内にいることから、精神的につらい思いをするのがPTA不倫です。
ただ、不倫だけを理由に離婚を急ぐことは、おすすめできません。
PTA活動は子供が中学校を卒業すれば終わりますし、子供が幼稚園や小学生である場合でも、小学受験や中学受験をして学区を抜けることができます。
PTAの付き合いや近所付き合いは、永遠に続くわけではないのです。
離婚するかどうかは、配偶者の人間性や子供との関係、経済面などを考慮し、この人が自分の人生に必要かどうか、「総合的に」判断することが大切です。
特に、配偶者が不倫を猛省したり後悔していたりする場合は、一度冷静になってこの先の長い人生について考え、離婚するかどうか、今回のPTA不倫にどう対処するのか、慎重に考えてみましょう。
周囲の目が気になったり、配偶者と同じ家にいることが耐えられなかったりする場合は、とりあえず別居をする、という方法もあります。 別居しても配偶者には婚姻費用を支払う義務がありますので、別居したからといって経済的に困窮することはありません。
冷静になるために期間を定めて別居をし、その間に離婚について考える、というのも選択肢のひとつでしょう。
③ 不倫相手へのペナルティは損害賠償請求がある
PTA不倫が判明すると、怒りや悲しさ、悔しさなど、色々な感情があふれてくるでしょう。どうにか復讐できないだろうか、不倫相手を制裁してやりたい、と考える人もいるかもしれません。
しかし、不倫相手に復讐をしたとしても、そこからは何も生まれません。
配偶者が不倫をした場合、配偶者にはもちろん、不倫相手に対しても損害賠償請求が可能です。損害賠償とは別に、不倫相手に対して「解決金」を請求することも可能です。
不倫相手に損害賠償請求をしたり、解決金の請求をしたりすることも、見方によっては1つの復讐行為といえます。
損害賠償や解決金の請求をする際は、取りはぐれの可能性を抑えるためにも、弁護士に相談することをおすすめします。離婚問題の経験豊富な弁護士ならば、親身になって相談に乗ってくれるはずです。
まとめ
PTAは、共通の話題があったり、同世代の異性が多かったり、連絡先を交換しやすかったりと、不倫の温床になりやすい環境です。
また、PTA不倫は家族や地域がベースにある関係で、これが噂になると、夫婦だけでなく子供にも悪影響が及ぶ可能性があります。
PTA不倫は一般的な不倫に比べて非常に厄介ですので、シタ側もサレタ側も、この問題に悩んだら弁護士に相談することをおすすめします。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
萩原弁護士監修 :「離婚」記事一覧
萩原弁護士監修 :「労働問題」記事一覧
萩原弁護士監修 :「B型肝炎」記事一覧
萩原弁護士監修 :「刑事弁護」記事一覧
萩原弁護士監修 :「企業法務」記事一覧
萩原弁護士監修 :「遺産相続」記事一覧
萩原弁護士監修 :「アスベスト」記事一覧
配信: LEGAL MALL