3、職場でモラハラを我慢するのはよくない
モラハラをする社員(モラハラ社員)を放置してしまうと、先ほど解説した職場環境配慮義務を怠ったとして会社の責任が問われる可能性があるため、会社にとっては大きなリスクとなります。
しかし、職場モラハラは、モラハラをしている本人も、あるいはモラハラをされている相手も自覚していないこともあり、非常に厄介な問題です。
加害者がモラハラに至ってしまう原因の一つには、過去の経験や育った環境が影響していることが考えられます。
たとえば幼少期に両親間のモラハラを見ていたり、自分がモラハラを受けたりした経験があったりします。
また、親の過保護や過干渉を受け、自分が一番大切という環境で育ってきた人も、自己愛が強すぎるがために他人への配慮が欠けていることも少なくありません。
しかし、例え本人にモラハラである自覚がなくても、モラハラ加害者は、侮辱罪、名誉毀損罪、脅迫罪などの刑法上の罪に問われることもあります。
モラハラを受けているという自覚のある人は、ひとりで我慢するのでなく、まずは相談できるところを探しましょう。
4、モラハラを止めてもらうには?
モラハラを止めてもらうためには、加害者本人にモラハラであることを自覚させなければなりません。
ただし、「忙しかったから気づかなかっただけ」「たまたま伝えるのを忘れた」などとモラハラであることを否定したり、逆に侮辱だと反論してきたりすることもあるでしょう。モラハラ社員への対応は慎重に行わなければなりません。
(1)客観的な状況判断をする
あなたはなぜモラハラをされたのでしょうか?「身に覚えがない」というケースが大半なのではないかと思います。
しかし、もし身に覚えがなくとも、相手にはきっと理由があるはずです。相手のプライベートがうまくいっていないなど、相手側の理由もあるでしょう。でも、その中でもさらに理由があって誰かを選んでいるのです。その理由を客観的に分析してみましょう。
もしあなたが新入であるというだけならば、きちんと行動していれば、見ていてくれる人が現れます。
もしあなたが影で悪口を言ってしまったのなら、その報いであることを反省し、今後の態度を心からあらためることです。
もしあなたが仕事のミスが多いのなら、ミスをしたくない(したくてしているわけではなく、改めたい)という気持ちを態度で表していきましょう。真摯な対応を見ていてくれる人が必ず現れます。
もしあなたがコミュニケーションが苦手なのであれば、コミュニケーションが上手な人を認めてみましょう。性格が違う者同士が人間関係をうまく運ぶコツは、お互いがお互いを認め合うことに他なりません。
職場は、色々な人が働く場所です。周囲が気になる人もいれば、気にならない人もいます。性格的に攻撃的である人もいれば、攻撃とは無縁の人もいます。モラハラ被害者になる人は、攻撃型でないケースが多いかもしれません。加害者側からの一方的な攻撃に、驚くしかないことでしょう。
モラハラの被害を受けてしまうと、攻撃的な人などいらない、と、存在自体を否定してしまいがちです。しかし、職場とは、色々な性格がいるからこそ仕事が回っていることを忘れてはいけません。職場とは、経営者に色々な能力を期待され、集められ場所なのです。
このように色々な人が働く場所で忘れてはいけないのが、自分と異なる人に対する敬意です。それぞれが全力で輝くためにも、お互いが敬意を忘れてはいけないのです。
(2)距離を置く
意図的にモラハラの加害者と距離を置くこと、周囲の人たちを味方につけることで、モラハラの被害を最小限にとどめ、抑制することができます。
ただし、あまりにも度が過ぎるハラスメントの場合は、法的手段に出て解決を図るということも必要になるでしょう。
(3)上司に相談する
上司は部下が快適に仕事できる職場環境づくりをする義務があるため、モラハラ行為の中止を加害者に指導するよう上司に相談します。
社員のマネジメントや人事に敏感な上司であれば、具体的に対処してくれるでしょう。
(4)専門家に相談して適切な対処法をアドバイスしてもらう
職場モラハラを職場だけでは解決できそうにないときは、労働問題の専門家に相談して適切なアドバイスを受けることで、早期解決が図れる場合があります。
①総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに設置されている厚生労働省の窓口です。
モラハラをはじめ、解雇、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどの労働問題を対象として、助言・指導や専門家のあっせんを行っています。
東京労働局総合労働相談コーナー
千代田区九段南1-2-1九段第3合同庁舎14階
03-3512-1608
②労働局
各都道府県の労働局には、雇用・環境均等部(室)が設置されており、職場モラハラをはじめとするハラスメントの問題に関する相談を受け付けています。
東京労働局
千代田区九段南1-2-1 九段第三合同庁舎12階~14階
03-3512-1653
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