離婚後のペット問題を解決するための7つの手続きと注意点

離婚後のペット問題を解決するための7つの手続きと注意点

3、離婚時のペットの引き取り権を決める方法

次に、離婚時にペットの引き取り権を決めるための具体的な方法を解説します。

(1)よく話し合って決めるべき

ペットの引き取りは、第一に当事者でよく話し合って決めるべきことです。

話し合いにおいては、感情ばかりを主張するのではなく、どちらが引き取るのがペットにとって幸せかを考えることがポイントです。

たとえば、幼い子どもがいる夫婦の場合、妻が子どももペットも引き取るとなると、子どもの養育に手一杯でペットの世話にまで手が回らないということも考えられます。

逆に、夫がペットを引き取る場合でも、残業や休日出勤が多くて散歩もままならないようでは、ペットにとって幸せとはいえないでしょう。

(2)話し合いがまとまったら必ず書面化を!

話し合いがまとまったら、口約束だけで終わらせるのではなく、合意した内容を速やかに書面化しておきましょう。

書面を作成して証拠化しておかないと、後で「言った・言わない」のトラブルが発生するおそれがあるからです。

離婚時のペットの引き取りについて合意できた場合に作成すべき書面は、「離婚協議書」です。

離婚協議書は、公正証書にすることをおすすめします。

公正証書にしておけば、もしも相手が約束を守らなかった場合に、裁判を起こすことなく強制執行できるだけの効力があるからです。

なお、弁護士に依頼すれば、文面の作成から公証役場への案内まで、すべての面倒な作業を代行してもらえます。一例として、離婚協議書の雛形を用意しましたので、参考になさってください。

この雛形の文例では、ペットの養育費(飼育費)や面会交流についても盛り込んでありますが、これらの問題については後ほど詳しく解説します。

離婚協議書(ペットあり)

(3)話し合いがまとまらない場合は調停へ

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ離婚調停を申し立て、その中でペットの引き取りについても話し合うことになります。

調停では、調停委員が間に入って話し合いを進めていきます。調停委員を味方につけることがポイントとなりますので、前記「2」でご紹介した条件を自分が満たしていることをしっかりと調停委員に説明しましょう。

(4)最終的には裁判で

調停でも話し合いがまとまらない場合には、離婚裁判で決める必要があります。

裁判では、自分がペットの引き取り手としてふさわしいということを証拠で証明できた方が勝つことになります。

そのため、前記「2」の条件を満たしていることを証拠化して裁判所に提出することがポイントとなります。

4、離婚時にペット引き取り権を獲得するための戦法

ペット引き取り権を獲得するためには幾つかの戦法があります。

もしも配偶者と揉めているなら参考にしてください。

(1)ペット中心で!ペットが快適に暮らせることを主張

ペット中心に考えた主張をしてこそ、調停や裁判に発展した場合にも有利になります。

例えば、あなたの仕事が残業がない場合で、夫の仕事は残業が多いなどを理由にして犬の散歩に毎日はいけないのでは?と主張する方法です。

また、これまで主に飼育していた場合は、具体的な飼育方法についても主張できます。

ペットの好き嫌いや、苦手な場所や行動などを主張して、「自分ならペットのストレスを軽減して飼うことができる」と主張する方法です。

(2)ペット相当分の財産を譲る

お互いにペットを譲らない場合には、他の財産に関して、ペット分を差し引いた財産分与にすることで、配偶者が納得する可能性があります。

それでも相手が納得しない場合や、他に分与する財産が特にない場合には、自分がペットを引き取る代わりにある程度の金銭を相手に支払うことも有効です。

財産分与においてこのような形で支払う金銭のことを「代償金」といいます。

ペットをどうしても引き取りたいなら他の財産で譲歩しておきましょう。

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