「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」は、大腸の内部をカメラで観察でき、必要に応じて病変を切除することもできる優れた検査方法です。しかし、大腸カメラを受けるためには、前処置が欠かせません。今回は、大腸カメラの検査の流れや前処置について、「かわぐち内科・内視鏡クリニック」の川口先生に解説していただきました。
監修医師:
川口 佑輔(かわぐち内科・内視鏡クリニック)
北里大学医学部卒業。その後、北里大学病院消化器内科、北里大学メディカルセンター、永寿総合病院などで経験を積む。2022年、東京都台東区に「かわぐち内科・内視鏡クリニック」を開院。医学博士。日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内科学会認定医。日本消化器病学会、日本胆道学会の各会員。
大腸カメラとは?
編集部
まず、大腸カメラについて教えてください。
川口先生
大腸カメラは、お尻から内視鏡を挿入し、大腸の中を直接観察する検査で、大腸内視鏡検査とも呼ばれています。
編集部
大腸カメラでは、どのような病気がわかるのでしょうか?
川口先生
最も重要で身近なものとしては、「大腸がん」が挙げられます。大腸カメラは、大腸がんを組織学的に診断することができる非常に重要な検査です。また、「大腸ポリープ」「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの炎症性腸疾患や「大腸憩室症」などもわかります。
編集部
大腸がんを放置するのは怖いですね……。
川口先生
大腸がんは、血便などの症状を生じることもありますが、早期ではほとんどが無症状で、大腸カメラで初めて発見されることが多いのです。大腸がんの発症リスクは40~50歳から上昇するので、症状のある人はもちろんのこと、症状がなくても40歳を過ぎたら一度は大腸カメラを受けましょう。
大腸カメラの検査の流れ
編集部
大腸カメラは、どのような流れでおこなわれるのですか?
川口先生
まず、検査の前にやることがあります。糖尿病の薬や血液をサラサラにする薬を内服中の場合は、薬の休薬が必要となることがあるので、検査の予約時などに申し出てください。そして、最も大事な前処置として「大腸の中を空っぽにする」というのがあります。
編集部
検査前日の注意点はありますか?
川口先生
検査前日の夕食は、20時までに摂取していただきます。食事内容も低残渣な食事になるよう、食材などについてアドバイスがあると思います。また、多くの場合は就寝前に下剤の内服をしていただきます。
編集部
検査当日の流れについても教えてください。
川口先生
当日の朝食は食べず、腸管洗浄液を飲んでいただきます。腸管洗浄剤の種類によって飲み方が異なりますが、いずれも2~3リットルの水分を内服する必要があります。多くの人は3~4時間ほどで便が綺麗になります。決まった予約時間に検査が始まるか、「便が綺麗になり次第、検査をはじめましょう」という方法か、医療機関によって異なります。
編集部
そこから検査に入るのですね。
川口先生
そうですね。ここからは検査を受ける人のニーズや医療機関によって異なりますが、必要に応じて鎮痛薬や鎮静薬などを使用しながら検査をしていきます。
配信: Medical DOC