中堅社員が、給与が上がらないのを理由に転職を検討しても問題はない?
【画像】「なるほど…!」 これが「完全週休2日制」と「週休2日制」の違いです
近年、企業の大卒新入社員の初任給アップが「初任給バブル」と話題となる一方で、20代後半から30代半ばの中堅社員の中には、初任給アップの影響か、自分の給与がなかなか上がらず転職を考える人もいるようです。
SNS上などでは「不満を感じるなら、転職活動をした方がよい」「行動しなければ変わらない」と、転職活動を肯定する声が上がっていますが、中堅社員が、給与が上がらないのを理由に転職を検討しても問題はないのでしょうか。また、転職により給与を上げることは本当に可能なのでしょうか。人事コンサルティング会社「人材研究所」の曽和利光代表が、人事制度の仕組みや転職時の注意点などについて解説します。
給与は「市場価値」を反映して決まっている
私は人事コンサルタントとして多くの企業の人事制度(評価・報酬制度)の設計に携わっています。つまり、人の給与がどのようにして決まるのかについて、いろいろなケースを見てきています。
その視点からまず言えることは、「多くの企業は市場価値を考えて、報酬額を設定するようになっている」ということです。「このくらいの仕事をしてもらう/このくらいの能力を持っている人を採用するなら、労働市場における報酬の相場はいくらくらいか」を考え、自社の報酬テーブルの金額を決めていきます。
「この給料だと採用できない」なら「ではもう少し報酬を上げようか」となりますし、「この給料でも採用できる」なら「報酬はこのままでいいか/なんならもう少し下げても採用できるのでは」となるのです。
報酬水準の高い企業には入社しにくい
つまり、転職市場における評価を気にしながら社員の報酬を決めているため、多くの場合は「転職しても、結局は提示される給与レベルは一緒」である可能性が高いということです。
もちろん、設備投資やスケールメリットなどで生産性が高い大企業の方が中小企業よりも報酬水準が高かったり、既得権益性の強い許認可産業の方が高かったりすることはあるので、「自分の本当の実力(市場価値)よりも今の会社での給与は低い」と感じることもあることでしょう。
しかし、そのような市場価値にプレミアのついた報酬水準の高い企業は、応募者が殺到する「買い手市場」(企業側が強い採用市場)であり、倍率も100倍を超えることも珍しくありません。目に見えた経歴や実績がなければ入社は難しいでしょう。
配信: オトナンサー