卵巣がん治療後の経過観察の目的と詳細
卵巣がんは、治療後も合併症や再発リスクの高いがんです。卵巣がんの治療後、経過観察は以下のような目安で行われます。
経過観察の目的
治療後の再発・転移の早期発見と合併症・後遺症の早期治療を目的に、経過観察を行います。卵巣がんに精通した婦人科の医師による注意深い腹腔内の検査とともに、術後も長期に渡り経過観察を続けることが重要でしょう。
治療後1~2年目の経過観察の頻度
治療後1~2年目は、1~3ヵ月ごとに経過を観察します。
治療後3~5年目の経過観察の頻度
治療後3~5年目は、3~6ヵ月ごとに経過を観察します。
治療後6年目以降の経過観察の頻度
6年目以降は、1年ごとを目安に、経過観察をします。
経過観察で行われる検査内容
問診・内診・直腸診および経腟超音波断層法検査を行います。また、患者さんの身体の状態や治療内容によっては、腫瘍マーカー検査・CT検査なども組み合わせて確認します。
卵巣がん手術後の緩和ケアとは?
緩和ケアとは、がんそのものによる症状や治療に伴う副作用などの軽減のためにオピオイド鎮痛薬などを中心とした薬物療法のことです。早期から終末期までのすべてのがん疼痛が対象となっており、大半のがん患者さんが経験する肉体的な痛みだけでなく、心理的・社会的な辛さを和らげる治療です。
心と体の辛さを和らげる
患者さんの多くが経験する痛みから解放されることは、大切な治療の基本といえるでしょう。緩和ケアによって心と体の辛さや痛みをうまくコントロールしながら、卵巣がんとうまく共存していくことが必要です。医療用麻薬を使用するネガティブなイメージから緩和ケアを拒絶するのは得策ではありません。
WHO(世界保健機関)方式がん疼痛治療法では、鎮痛薬を適切に使用することで80%以上の患者さんが痛みから解放されることがわかっています。がん患者さんは痛みから解放されることで体力・気力を取り戻し、根気強く治療に専念できるでしょう。本人にしかわからない辛さであっても積極的に担当の医療者に伝えるようにしてください。
さまざまな専門職からなるチームが支えてくれる
緩和ケアは、基本的に担当の医師や看護師が中心となって行いますが、必要に応じてさまざまな専門職からなるチームが支えてくれます。医療用麻薬は、医師の管理のもと適切に処方されている場合は中毒になる恐れはありません。体に痛みがあると気持ちが沈みがちになり、食欲不振・不眠など心にも悪影響が出てきます。
痛みを感じたら我慢するのではなく、担当の医師・看護師・緩和チームに相談してください。経済的な不安も含め、さまざまな専門職からなるチームが患者さんの心と体をサポートしてくれるでしょう。
配信: Medical DOC