知らないと危ない!雷の怖さと備えるポイント

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気象災害の1つに雷による被害(雷害)があります。落雷による災害は年間1,000件以上あり、落雷で命を落とすケースもあります。雷は日本のどこでも発生する現象で、「ここなら雷が落ちない」という場所はありません。雷による被災を防ぐために、雷の特徴を理解し、気象情報を活用して備えましょう。

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雷の特徴と災害リスクについて

雷は、雲と雲との間や雲と地面との間に起こる放電現象です。雲と雲との間で起こる放電を「雲放電」、地面との間に起こる雷を「落雷」と呼んでいます。雷害は主に落雷によってもたらされます。

まず雷の特徴と災害リスクを紹介します。

雷の種類とメカニズム

雷は発達した積乱雲によってもたらされます。

積乱雲が発生するメカニズムはさまざまです。雷の種類は、積乱雲が発生するケースに応じて以下の4つに分類されます。

・熱雷

強い日差しによって地面が暖められ上昇気流が強まることによって発生した積乱雲による雷です。局地的に発生し、移動距離は短く、持続時間は30~60分ほどです。熱雷のほとんどは夏の入道雲によって生じます。

・界雷

 寒冷前線、温暖前線によって発生した積乱雲による雷です。雷は前線によって帯状に発生し、前線の動きに沿って一定方向に進んでいく特徴があります。

・渦雷

低気圧、台風によって発生した積乱雲による雷です。基本的に低気圧や台風の進む方向と雷が進んでいく方向は同じです。しかし、地形などによって特定の場所で積乱雲が発生し続け、雷の場所が移動せず数時間にわたって雷が続くこともあります。

・熱界雷

熱雷と界雷の両方を併せ持つ雷です。湿った空気や上空の寒気によって同一地点に積乱雲が発生し続けて雷が長く続く場合もあります。梅雨末期の豪雨時に発生する雷は熱界雷の一種です。

雷の前兆

雷の前兆として、真っ黒な雲や冷たい風・突風・急な雨・霰(あられ)・雹(ひょう)などの発生があります。これらの前兆は、いずれも発達した積乱雲によってもたらされます。ただし、風や雨などの変化よりも先に落雷が起こるケースもあるので、雷鳴や雷光に気づいたら早めに避難することが大切です。

また、気象現象以外にも、雷が発生する前には、空気中に静電気が蓄積することによって帯電しやすい釣りざおやゴルフクラブなどに触れると静電気に触れたときのようにビリビリしたり、雷の発生時に放出される電波の干渉によって、聴いているAMラジオから「がりがり」といった音がしたりする――などの前兆もあります。雷の対策に役立つ気象情報

雷の発生は、気象情報からある程度の予想や把握ができます。雷害を防ぐためにも気象情報を活用しましょう。

雷の対策に役立つ気象情報を紹介します。

雷注意報

雷警報という言葉を耳にしたり検索ワードを見かけたりする機会もありますが、実際は雷に関する警報はありません。

雷に関する注意報・警報は、「雷注意報」のみです。

また、雷注意報は、雷害だけでなく、積乱雲によって発生する急な強い雨、竜巻などの突風などによる人や建物への被害が予想される場合にも発表されます。

雷注意報が出ている時点で、人命に関わる雷害が発生する可能性があるので注意してください。

雷レーダー・ナウキャスト

雷のリアルタイムの情報を知る方法として、気象庁による情報ページ「雷レーダー・ナウキャスト」(https://www.jma.go.jp/jp/radnowc/)があります。

雷レーダー・ナウキャストは、以下のように1~4段階のレベルに分けられています。

・レベル1(黄色):雷が発生する可能性がある

・レベル2(オレンジ色):電光や雷鳴が聴こえる。もしくは間もなく落雷する可能性が高くなっている

・レベル3(赤色):やや激しい雷が発生している状態で、落雷がある

・レベル4(紫色):激しい雷が発生している状態で、多数の落雷がある

ポイントとしては、レベル1(黄色)の時点ですぐに避難できる場所を探し、こまめに気象情報をチェックすることです。そして、レベル2(オレンジ色)になった時点で直ちに避難するようにしましょう。

雷が発生したときに取るべき行動

雷注意報が発表されて、雷レーダー・ナウキャストでも雷が発生する可能性が高い、もしくは落雷が発生したと発表されたときは、身を守る行動を取って被害を少しでも減らすように努めましょう。

雷が発生したときに取るべき行動を紹介します。

雷が鳴っている場所を調べる

雷が発生したときは、まず雷レーダー・ナウキャストを使って雷が発生している場所を調べます。

雷レーダー・ナウキャストには3時間前から現在までの雷の動向を動画で閲覧できる機能があります。雷雲がどの方向からどの方向に向かっているのかも動画で確認してください。

雷が一定スピードで一定方向に進んでいる場合は、雷が抜けるまでの大まかな時間も動画で判断できます。

雷レーダー・ナウキャストが利用できない場合は、雷鳴と雷光の位置関係から大まかな距離がわかります。

雷鳴は1秒間に約340m進むため、雷光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間が10秒なら、3400mほど離れた地点で雷が発生していることになります。

雷光が見えてから雷鳴が聞こえるまでの時間が短くなっている場合は、積乱雲が近づいているサインなので、すぐに安全な場所に避難しましょう。

安全な場所に避難する

雷が発生したときは以下のような安全な場所に避難しましょう。

・車の中

・鉄筋コンクリートの建築物

・戸建て住宅

ただし、屋内でも壁や天井、窓、コンセント、照明、テレビなどの電気機器からは離れてください。建物に落ちた雷がアンテナや電気配線を伝って流れてくる可能性があるためです。

基本的に建物の中は雷の被害を受ける可能性は低いものの、100%安全とはいえないため、一般の住宅なら部屋の真ん中あたりにいるのがよいでしょう。

また、以下のような開けた場所は雷害に遭う可能性が高まるので、注意してください。

・海岸、海上、湖上、砂浜

・グラウンド、テニスコート、ゴルフ場、プール、河川敷

また、樹木の周囲は樹木への落雷に巻き込まれる場合があるので危険です。

周囲に避難できる場所がない場合は「雷しゃがみ」で備える

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周囲に避難できる場所がない場合は「雷しゃがみ」と呼ばれる姿勢を取りましょう。雷しゃがみのやり方は以下の通りです。

① ひざを曲げてしゃがみ、上半身をできるだけ前かがみにする(自分自身が避雷針になるのを避けるため)

② 両足のかかと同士をつける(雷の電気が足から入っても、もう片方の足に電気を流せるため)

③ 爪先立ちをする(地面から体に入る電気を最小限に抑えるため)

④ 両手で耳を塞ぐ(雷の大きな音から耳を守るため)

この方法を取ることで頭からの感電と地面からの感電を最小限に抑えられます。落雷から身を守るためにもぜひ覚えておきましょう。

コンセントを抜いてショートを予防する

雷が鳴り始めたら、コンセントを抜いて雷サージによるショートを防ぎましょう。

雷サージとは、落雷が発生したときに電柱や電線などに瞬間的に発生する高い過電流や過電圧のことです。

雷サージの発生要因には以下の3つが挙げられます。

・直撃雷:アンテナ、送配電線、通信線、避雷針などに直接落雷する

・誘導雷:樹木や建築物への落雷によって発生した電磁界の急変が通信線や送配電線の電流に影響を与える

・逆流雷:樹木や建築物への落雷によって地面に電気が流れ、周囲の通信線や送配電線に電流が伝わる

雷の電流は非常に大きいため、落雷した場合には大きな雷サージが発生します。コンセントをつけたままだと、電気機器に大きな電流が流れ込み、機器が故障するリスクがあります。

雷サージによる電気機器の故障を防ぐためにも、雷が近づく前にコンセントを抜きましょう。

豪雨に備える

雷は積乱雲がもたらす現象であるため、雷が発生したら豪雨への備えも必要です。

雷による豪雨はすぐに止むケースもあれば、線状降水帯が発生している場合だと、数時間にわたって激しい雷雨が続くこともあります。大雨による浸水や洪水、土砂災害の危険性があるエリアにいる場合は、雷が鳴り始めた時点で安全な場所に避難するのがよいでしょう。

ただし、雷と豪雨の中での避難は危険を伴うため、すでに危険な状態になっている場合は自宅の2階以上の場所に避難し、近くにがけがある場合は、がけから離れた部屋で過ごしましょう。

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