離婚調停の申し立て|本人だけでできる方法を解説

離婚調停の申し立て|本人だけでできる方法を解説

7、離婚調停を自分で申し立てても良い3つのケース

とはいえ、離婚調停では調停委員が中立公平な立場で話し合いをリードしてくれますので、自分でも調停を進めることは可能です。

結局のところ、自分で申し立てても結果に大きな差し支えがないと考えられるのは、以下の3つのケースといえます。

(1)強力な証拠がある場合

パートナーの浮気を主張するケースで、浮気相手との性交渉中の画像や動画といった強力な証拠を掴んでいる場合は、それだけで交渉を有利に進めやすいといえます。

このような場合は、まず自分で申し立ててみるのもよいでしょう。

ただし、慰謝料や養育費の請求額が妥当かどうかは弁護士に相談して確認しておくことをおすすめします。

(2)相手と大筋では合意できている場合

離婚することと離婚条件について、大筋ではパートナーと合意できているものの、細かい部分で意見が噛み合わないというケースもあります。

例えば、浮気の慰謝料として300万円を請求しているのに、パートナーは200万円しか払わないというような場合です。

このような場合には、調停委員の仲介によって、間を取って250万円で合意ができる可能性がありますので、自分で申し立ててみるのもよいでしょう。

(3)大幅に譲歩しても構わない場合

離婚条件について大幅に譲歩しても構わないという場合も、自分で申し立ててもよいかもしれません。

例えば、離婚さえしてくれれば他には何もいらないという場合で、パートナーが話し合いに応じてくれないというようなケースが考えられます。

8、離婚調停を有利に進めるための方法

離婚調停を有利に進めるには弁護士に依頼することが有効ですが、ここでは自分で申し立てる場合にできる限り有利に進める方法をご説明します。

(1)強力な証拠を提出する

離婚調停は話し合いの手続きですので、証拠がなければ申し立てができないというわけではありません。

しかし、証拠がないと相手方が言い逃れをする可能性が高いです。調停委員としても、どちらの言い分が正しいのかを見極めることはできません。

その場合、相手方の方が外面がよかったり、交渉術に長けていたりすれば、調停委員も相手方の言い分に引っ張られてしまうおそれがあります。

その結果、調停が不利に進んでいってしまいかねません、

調停を有利に進めるためには、相手方が言い逃れできないような証拠を提出し、調停委員にもあなたの言い分を信用してもらうことが大切です。決定的な証拠がつかめない場合は、間接的な証拠をできる限り数多く集めて相手方の言い逃れを封じることを目指しましょう。

(2)事情を説得的に説明する

証拠があったとしても、その証拠がすべての事実を物語ってくれるとは限りません。

調停委員に実情を把握してもらうためには、証拠を示しつつ、あなたが事情を説得的に説明する必要があります。

口頭で上手に説明する自信がない場合は特に、前記「4」(3)でご説明した陳述書を活用するのがおすすめです。

(3)調停委員を味方につける

調停委員は中立・公平な立場で話し合いを進めますが、実際には双方の言い分を聞いた上で「落としどころ」を想定した上で、必要に応じてアドバイスや説得を行うものです。

調停委員にあなたの言い分を理解してもらえれば、その方向に従って相手方に対してアドバイスや説得を行ってくれることもあります。

ときには、調停委員になかなか言い分を理解してもらえなくて腹が立つこともあるかと思います。しかし、調停委員に対してけんか腰になるのは逆効果です。証拠や陳述書を活用して、実情をしっかりと伝えることが大切です。

9、その他、離婚調停を自分で申し立てる場合の注意点3つ

その他にも、離婚調停を自分で申し立てるなら知っておいていただきたい注意点が3つあります。

(1)相手方に知られたくないことがある場合の対処法

離婚調停の申し立てに際して提出する書類の中には、あなたの住所や連絡先も記載しなければなりません。

そして、相手方は原則として、家庭裁判所に提出された書類については閲覧やコピーをすることが可能です。

しかし、相手方に住所や連絡先を知られてしまうと、暴力やストーカー行為を受けてしまうおそれがある場合もあるでしょう。

その他の情報の中にも、さまざまな事情で相手方には知られたくないものがあるかと思います。

そんなとき、申立書には現住所や連絡先ではなく、知られてもよい住所や連絡先を記載して提出することもできます。

また、相手方に渡ってしまう書類としてコピーを準備し、知られたくない部分にマスキング(黒塗り)をするということも可能です。

さらに、「非開示の希望に関する申出書」を提出すれば、裁判所が必要と判断した場合には、相手方に見られたくない書類を非開示としてもらえる場合もあります。

非開示の希望に関する申出書の雛形は、下記テキストをクリックするとダウンロードできます。

非開示の希望に関する申出書_離婚調停

(2)婚姻費用を請求するには別途申立が必要

あなたの収入が相手方の収入よりも低い場合は、「婚姻費用」といって、生活費の一部を請求することができます。

この請求のことを「婚姻費用分担請求」といいます。

通常、夫婦が別居している場合には裁判所の婚姻費用算定表を目安とした金額の請求が認められます。

ただ、婚姻費用分担請求は婚姻中の夫婦間の問題ですので、離婚するために行う「離婚調停」とは別に手続きが必要とされています。

ですので、別居しているあなたが相手方から生活費をもらっていない場合は、離婚調停と同時に「婚姻費用分担請求調停」も申し立てましょう。

婚姻費用分担請求調停について詳しくは、以下の記事をご参照ください。

(3)調停の途中でも弁護士に依頼することは可能

自分で離婚調停を申し立てることによって満足できる結果が得られればよいですが、不利な条件での離婚を押しつけられる可能性もあります。

そうなると、一生後悔することにもなりかねません。

離婚調停の途中からでも弁護士に依頼することは可能ですので、「これ以上、自分で進めるのは難しい」と感じたらすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

10、離婚調停の申立てが不安なときは弁護士の無料相談を利用しよう

弁護士に相談しても、必ずしも依頼しなければならないわけではありません。

わからないことだけを法律相談で教えてもらいながら、自分で調停を進めることも可能です。

例えば、調停申立書やその他の必要書類を作成した段階で弁護士に相談し、チェックを受けるのもよいでしょう。

弁護士に相談しておくことで、調停中に旗色が悪くなったらすぐに依頼して対応してもらうことも可能となります。

いつでも相談できる弁護士がいると思うだけでも、心強いのではないでしょうか。

相談する際は、無料相談を利用するのがおすすめです。弁護士の法律相談は基本的には有料で、30分につき5,000円程度の相談料が相場となっています。

しかし、無料相談を受け付けている事務所もありますので、事前に確認した上で利用してみましょう。

ベリーベスト法律事務所でも初回60分は無料で相談を受け付けていますので、お困りの際にはぜひご利用ください。

離婚調停の申し立てに関するQ&A

Q1.離婚調停を自分で申し立てる方法は?

離婚調停を申し立てる方法は、必要書類・証拠・費用を準備して、それらを管轄の家庭裁判所へ提出するだけです。このようにいうと簡単そうに思えますが、それぞれのステップごとに注意すべきポイントがあります。

Q2.離婚調停を申し立てた後の流れ〜かかる期間や期日の回数は?

離婚調停を申し立てると、まず、1か月~1か月半くらい先の日時に第1回調停期日が指定されます。

1回の調停期日にかかる時間は、2~3時間です。

Q3.離婚調停を有利に進める方法とは?

強力な証拠を提出する
調停委員に事情を説得的に説明する
調停委員を味方につける

まとめ

離婚調停は、自分で申し立てることも可能です。

ただ、離婚調停で納得できる結果を獲得するためには、専門的な知識やノウハウが必要になることも少なくありません。

お困りの場合は、離婚問題に強い弁護士に相談してみましょう。

弁護士の力を借りて、上手に離婚調停を進めていかれることをおすすめします。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。

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