3、違法アップロードからのダウンロードも違法になりうる
以上は違法アップロードについての解説でしたが、ダウンロードする行為も厳しい規制があります。
(1)なぜダウンロードが違法になるのか。
令和3年(2021年)1月から改正著作権法が施行され、ダウンロードへの規制も厳格化されました。この理由は、アップロード側だけを規制しても海賊版対策にならないからです。
海賊版をダウンロードする人が沢山いると、違法にネットに掲載する人も後を絶たなくなるでしょう。いたちごっこになってしまうのです。
(2)こんなダウンロードが違法になる。
①著作物の種類を問いません。
従来、違法ダウンロードについては、音楽、映像の著作物だけが規制対象でしたが、改正後は、すべての著作物が対象にされています。
例えば、
漫画
小説
論文
写真
新聞
イラスト
コンピューターソフト
などです。
②規制されるのは、違法アップロードだと知りながらダウンロードする場合に限られます。
海賊版だと確実に知りながらダウンロードする場合が違法となります。民事上の損害賠償請求などを受ける可能性があります。
③悪質な場合は刑事罰が科される。
有償の著作物について、その海賊版を反復・継続してダウンロードした場合、権利者が告訴すれば、刑事罰に問われる可能性があります(著作権法第119条第3項:2年以下の懲役・200万円以下の罰金)。
参考:文化庁リーフレットちょっと待ってそのダウンロード違法かも
4、違法アップロード、ダウンロードのよくある誤解
上記の違法アップロード、ダウンロードについて、よくある誤解を取り上げて解説します。上記と重複するところもありますが、大事な問題ですので、もう一度確認しておいてください。
(1)自分のサイトに載せただけだ。私的利用だから問題ないだろう
自分のホームページなりSNS にアップロードすれば、誰でも自由に閲覧したり、ダウンロードできます。もはや私的利用ではなくなるのです。
(2)誰もダウンロードしていないから実害はないだろう
「自分がアップロードしても1件もダウンロードがないのなら実害はないだろう」といった類の誤解です。
問題なのは、広範な人が、やろうと思えばいつでもダウンロードできたり、閲覧できたりする、そんな状態を著作者の許諾なく勝手に作ってはいけないのです。ダウンロードや閲覧を許すのは著作者の固有の権利なのです。
(3)違法なものは削除されているはずだ。今残っているものならダウンロードしても問題ないだろう
これもよくある誤解です。実態は膨大な違法アップロードが世の中に溢れており、権利者としていちいちチェックして削除を要求できていないのです。すなわち違法アップロードが削除しきれていない、ということに過ぎません。
もちろん、中には著作権者が許諾している場合もあるかもしれません。
しかしそんな例外的なことを当てにするわけにはいきません。
民事上の損害賠償や場合によっては刑事罰が科される違法行為になりかねないのです。安直に考えてはなりません。
(4)みんながやっているから、目くじら立てなくてもいいだろう
違法アップロード等の海賊版が横行し、そこからのダウンロードがあまりにも頻繁に行われています。見るに見かねて、国家が厳しい規制をするに至っているのです。みんながやっているからこそ、大きな問題になっているのです。
(5)原著作物を少し手直ししたら、大丈夫じゃないか
もとの著作物をそのままアップロードしては問題かもしれない、というのでちょっと手を加えてアップロードすれば良い、と勘違いしている人がいます。
それこそ左右反転させれば良いとか、改変すればよい、一部分だけ使うのだから問題ないだろう、といった類です。
このような対応は違法アップロードの問題のみならず、著作者人格権の侵害(同一性保持権の侵害)、二次的著作物としての無断利用など、他の様々な問題を生じかねません。
以上のような誤解に共通するのは、著作物が著作者の貴重な権利であり、財産である、さらには著作者の人格の表れだという、著作物についての基本的な認識を欠いていることです。
自分が作ったものを勝手にアップロードされては、著作者は自分の著作物を販売して利益を得る、という財産権が侵害されてしまいます。売れなくなってしまうのです。
さらに、自分が作ったものを他人が勝手に作り直すなどしてアップロードするに至っては、著作者が心血を注いで作った作品を毀損するものです。著作者の人格権を侵害するものなのです。
配信: LEGAL MALL