自損事故を起こしてしまった場合に知っておくべき5つのこと

自損事故を起こしてしまった場合に知っておくべき5つのこと

3、自損事故を起こしてしまった場合の注意点

以下では、自損事故を起こしてしまった場合の注意点をご紹介します。

(1)自動車保険を使えなくなるリスク

自損事故だからといって警察への通報を怠ると、自動車保険を使えなくなるリスクがあります。

交通事故が起こったとき、警察へ届け出ると、自動車安全運転センターで「交通事故証明書」が発行されます。

交通事故証明書は、交通事故があったことを証明する資料ですから、自動車保険を利用する際に保険会社から要求されるケースが多いです。

事故が起こったときにきちんと警察へ報告をしておかないと、交通事故証明書が発行されないので、保険会社が保険金を支払ってくれない可能性があるのです。

(2)当て逃げになってしまう可能性

自損事故を起こしたとき、すぐに届出をせずに、後から警察に届け出ようとする方がおられます。 その場では「たいしたことがない」と考えて警察を呼ばないで立ち去るのですが、後に「やっぱり車両保険や自損事故保険を使いたい」などと考えて、届出をしようとするのです。

しかし、このような場合、当て逃げ犯人扱いされてしまう可能性があります。

自損事故の場合、ガードレールや建物などの施設を傷つけてしまうケースが多いためです。

前述の通り、物損事故でも警察への通報義務がありますし、通報しなければ道路交通法違反となり、罰則も適用され、運転免許の点数も加算されます。

そのようなことからも、自損事故を起こしたら、その場で警察に通報すべきです。

(3)警察が受け付けてくれないおそれ

自損事故でも、他人のものを傷つけずに自分の身体や車だけが傷ついた場合には、被害者はいません。

このようなケースでは、交通事故から時間が経つと、警察が自損事故の届出を受け付けてくれない可能性が高くなります。

そうすると、交通事故があったことを証明できず、自動車保険を利用できない可能性が高くなります。

(4)道路や施設の管理者に損害賠償請求できる可能性

自損事故を起こした場合、必ずしも運転者に過失があるとは限りません。

たとえば道路や施設がきちんと管理されていなかったことが原因で交通事故につながったのであれば、道路や施設の管理者や所有者に対し、損害賠償請求できる可能性があります。

そこで、自損事故を起こしたときには、現場の状況についてもきちんと検証しておくことが重要です。

そのためにも、事故を起こしたらすぐに停車し、その場で警察を呼んで状況を確認してもらいましょう。

(5)自損事故と運転免許の点数について

自損事故を起こしたとき、運転免許の点数が加算されるのか不安に感じる方も多いですが、自損事故では、基本的に免許の点数は上がりません。

そこで、警察を呼んでも免許停止や取消などにはならないのです。

しかし、自損事故でガードレールなどの施設を傷つけたにもかかわらず警察に届出をしなければ、「当て逃げ」となって点数が上がります。

この場合、前歴がなくても7点が加算されて、免許停止処分を受けることとなります。

4、自損事故で保険金をもらう方法

自損事故では事故の相手がいないので、相手の保険会社や相手本人に損害賠償を求めることはできません。

相手の任意保険の対人賠償責任保険や対物賠償責任保険はもちろんのこと、自賠責保険も利用できませんし、政府保障事業も適用されません。

しかし、自分が自動車保険(任意保険)に加入している場合には、自分の自動車保険から保険金を受け取ることができます。

自損事故で利用できる可能性がある保険は、

自損事故保険
人身傷害補償保険
搭乗者傷害保険
車両保険

です。

自損事故保険とは、契約者が自損事故を起こしたときや、契約者に100%の過失があって相手の自賠責保険から支払いを受けられない場合に保障を受けられる保険です。

契約者が怪我をしたり死亡したりしたときに適用されます。

支払われる保険金は、死傷者の収入などの条件にかかわらず、死傷の結果に応じて一定の金額が支払われます。

一例を示すと、死亡した場合には1,500万円、後遺障害が残った場合には、その内容に応じて50~2,000万円、介護が必要になった場合には200万円などとなっています。

入通院をした場合には、入通院した日数に応じて保険金が支払われます。

人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険は、契約者やその家族が交通事故に遭ったときに人身損害部分について保障を受け取れる保険です。

自損事故保険よりも補償額が高額になるケースもあるので、忘れずに適用を申請しましょう。

自損事故保険、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険は人身損害に対する保障ですので、車が壊れたケースなどでは適用されません。

車などの物損については、「車両保険」によって対応する必要があります。

車両保険は、契約者の車両が壊れたり、盗難に遭ったり当て逃げ被害に遭ったりしたときに保険金の支払いを受けられる保険です。

ただし、車両保険には一定金額まで免責がありますし、利用すると保険の等級が下がって次年度の保険料が上がってしまいます。

そこで、車両保険を利用するかどうかについては、ケースに応じて慎重に検討した方が良いでしょう。

なお、「3、自損事故を起こしてしまった場合の注意点 (1)自動車保険を使えなくなるリスク」でご説明した、自動車保険を利用する際に必要となる「交通事故証明書」は、保険会社が取付けを行うことが一般的ですので、自分で取付ける必要はありません。

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