保護者の方々に対し、PTAを強制加入とすることに法的な問題はないのでしょうか。
そこで今回は、PTA制度の法的問題点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。
1、PTAへの加入はそもそも強制できない
一部のPTAでは、保護者に対して任意加入であることを十分に説明せずに、入会を強制するような運用がなされることもあるようです。しかし、PTAは一般的な他の団体と同じく任意加入団体であり、保護者には「入会の自由」があります。
この点については、保護者がPTA会費の返還を求めた裁判例でも、PTAが“任意加入団体であること”自体は争われていないことからもわかります(熊本地方裁判所判決平成28年2月25日)。したがって、PTAへの加入を強制するような運用は法的に問題があります。
2、強制加入だと思っていた場合の加入は無効
保護者が十分な説明を受けずにPTAに入会してしまったとしても、「加入義務がないのにもかかわらず、加入義務があると錯誤(勘違い)していた場合」には、どうなるのでしょうか。
この場合、加入者の錯誤(勘違い)において重大な過失がないかぎり加入は無効となり、元からPTAに加入していなかったことになります。仮に、PTAが加入していない人から会費を受け取った場合には、それは法律上の原因なく不当に利益を得たことになり、PTAは会費を返還する義務があります。
不当利得の返還を請求する権利の消滅時効は10年です。お子さんがすでに小学校を卒業されていても、支払った後の10年のあいだは、PTAに対し会費の返還を求められる可能性があります。
配信: LEGAL MALL