PTAへの強制加入って問題じゃない?!PTA制度の6つの法的問題点とは

PTAへの強制加入って問題じゃない?!PTA制度の6つの法的問題点とは

5、退会を阻止することも、名簿を学校と共有することも違法

入会の自由と同様に退会の自由もありますから、「退会の自由がないかのように騙して退会を阻止した場合」も、同様に違法性があります。また、PTAには入退会の自由に関する問題点のほかに、個人情報の取り扱いに関する問題点もあります。

 公立学校は生徒の教育等の観点から、通常、生徒や保護者の個人情報を持っていますが、別団体であるPTAはそもそも生徒や保護者の個人情報を持っていないはずです。それにも関わらず、公立学校が生徒や保護者の同意を得ず、かつ正当な理由もなく、生徒や保護者の個人情報をPTAに共有することは個人情報保護「条例」違反や個人情報保護「法」違反になりえます。

もっとも、これまでは個人情報の提供を受けたPTAを罰することはできませんでした。PTAは前述の個人情報保護「条例」も、個人情報保護「法」についても、適用対象とならなかったためです。これまでの個人情報保護法は、保有する名簿の件数が5000件以上の団体を対象としていました。

しかし、国内の小学校、中学校および高校で5000人以上の生徒をもつ学校はないと思われることから、個人情報保護法の適用を受けるPTAは存在しませんでした(ただし、卒業した生徒の個人情報を保有し続けた場合は5000件以上になり適用を受ける可能性がありました)。

 しかし、2017年5月30日からは改正個人情報保護法が施行され、5000件の制限が撤廃されました。その結果、すべてのPTAが個人情報保護法の適用を受けることになります。そのため、PTAが学校から生徒や保護者の同意を得ず、かつ正当な理由もなく名簿の提供を受ける行為は、違法な行為になります。

 したがって、今後はPTAが会員名簿を作る際には個人情報の取り扱いについて、基本的に本人の同意を得る必要があります。これまでのように、PTAが正当な理由なく、生徒や保護者に無断で学校から提供された名簿の情報を用いてPTAの名簿を作成した場合には、違法な行為となる可能性があります。

6、役員強制も違法性あり

では「PTAに入るのは構わないが役員はやりたくない」という場合はどうでしょうか。PTAに入会している保護者に対し、活動への参加や役員になることを強制することに違法性はないのでしょうか。この点については、保護者の意思に反して強制をした場合には違法となる可能性が高いと言わざるを得ません。PTAに加入することと、PTA活動への参加義務や役員への着任義務を受忍しなければならないこととは、基本的には別だと考えられるからです。

ただし、活動参加義務や役員着任義務が規約等で定められていて、その規約に同意していれば、後から拒むことは難しいと考えられます。もっとも、ほとんどのPTAではそのような規約を定めて加入時に同意を取り付けるようなことはおこなっていないと思われます。また、仮に活動参加義務や役員着任義務に同意していたとしても、退会の自由があるためPTA会員をやめることで活動への参加や役員への着任を拒めると思われます。 

法的な論理を主張するのは、大げさだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、PTA活動が原因で仕事や家事等の日常生活に支障をきたしているという方も少なくないと思います。

そういった方々が、冒頭にお話したように、ブログに思いをつづり、なんとか鬱憤を晴らしているのかもしれません。しかし、PTAで生じている問題はどうにもならない問題ではありません。おかしなことはおかしいと判断できる材料として、今回お話した内容を参考にしていただければと思います。

監修者:宮本健太弁護士

【経歴】
立教大学法学部卒業
東京大学法科大学院修了
司法修習(東京)修了

【専門分野】
交通事故のほか、労働災害事件、夫婦間の問題、労働問題などの一般民事事件を主に担当しています。
ご依頼者様の利益を最大化させることを念頭に、職務に取り組んでおります。

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