家賃滞納者に電話をしてみてもつながらない、賃貸物件を訪ねてみても滞納者が部屋におらず話すら出来ないなどといった場合には、内容証明郵便を送って家賃の請求をするという方法が考えられます。
今回は、家賃を滞納をされお困りの大家さんのために内容証明郵便の送り方や確実に家賃を回収する方法をお伝えしたいと思います。
1、内容証明郵便を送付したら家賃を支払ってもらえるのか
(1)内容証明郵便の効果は?
内容証明郵便とは、「誰」が「どんな内容」の文書を「誰に」「いつ」差し出したかを郵便局(日本郵便株式会社)が証明してくれる郵便物のことをいいます。
内容証明郵便は、それらの事項を公的に証明する効果があるので、「どんな内容の」手紙を「誰に」対して「いつ」送付したのかを証明したい場合には非常に有効な手段といえます。
また通常は、配達証明を付して内容証明郵便を送ることになります。配達証明を付けることによって、差し出した郵便物に番号が付されます。郵便局のホームページ上でその番号を入力すると配達の状況を簡単に確認することができて便利です。上記の文書が何月何日何時に相手方に配達されたかについても細かく証明することができるのです。以下における内容証明郵便は、配達証明を付したものを想定してご説明いたします。
(2)内容証明郵便を送ったら入居者は家賃を支払ってもらえる?
内容証明郵便には上記のような効果があり、裁判などの法的措置の前段階として用いられることが多いため、内容証明郵便を送ると、滞納者が家賃を支払ってくるケースが多いといえます。
しかし、中には内容証明郵便を受け取ったとしても、家賃を支払わずに住み続けている滞納者も実際にいます。例えば、家賃の不払いには正当な理由があると主張する滞納者、内容証明郵便なんて無視してしまう滞納者、滞納したこと自体は素直に認めるけれども支払いや引っ越しが困難な滞納者など、様々な事態が考えられます。
2、それでも家賃滞納時に内容証明郵便を送るメリットは?
(1)文書の送付を公的に証明できる効果
郵便法と約款に定められている内容証明制度と言われる制度があり、内容証明郵便はその制度を利用して発送をされることになります。それが「内容証明」といわれる所以です。内容証明を郵便局に提出する際、相手方への送付用とは別途大家さん保管用と郵便局の保管用の謄本2通が作成されることになります。
もし滞納者が送ったはずの内容証明郵便について「こんな文書を見た覚えがない」などと言ってきた場合でも、郵便局に確認することができるので、内容証明郵便には文書の送付を公的に証明できる効果があるのです。
(2)相手方に心理的圧迫を与える効果
内容証明郵便は、裁判などの法的措置の前段階として用いられることが多いため「場合によっては裁判をも辞さない」という大家さんの強い意志を伝えることができ、滞納者に対して相当な心理的圧力を加えることができます。また、内容証明郵便は一般書留郵便であることが条件とされていますので、滞納者が受領する際には受領印又は署名が要求されることになります。なかなか滞納者との話し合いが進展しない場合は、電話や普通郵便よりも内容証明郵便が効果的でしょう。
(3)訴訟の証拠作出の効果
内容証明郵便を滞納者に送付することによって、訴訟における効果的な証拠を残すことができます。大家さんが、滞納者に対して、家賃滞納を理由に貸している部屋を出て行ってもらいたい場合や滞納している家賃の支払いを求める場合に裁判を起こそうと考えたときに、基本的には家賃の支払いを催促したことや賃貸借契約解除の意思表示をしたことを証拠によって証明しなければなりません。
そして、口頭や普通郵便で催促・解除しただけでは明確な証拠が残らないため、裁判になっても「やった」「やってない」の水掛け論になってしまう可能性があります。
もし事前に内容証明郵便を利用すれば、このような事態を回避するために有効な証拠を残すことができることでしょう。
配信: LEGAL MALL