「再逮捕」について知っておきたい9つの重要なポイント

「再逮捕」について知っておきたい9つの重要なポイント

7、再逮捕が違法となる場合

一つの犯罪事実について、逮捕・勾留は1回限りというのが現行法の原則です。

ですから、仮に、空き巣を行った場合で、住居侵入罪と窃盗罪が成立する場合であっても、まず、住居侵入罪で逮捕・勾留し、その後、窃盗罪で逮捕・勾留することは違法な再逮捕として許されません。

また、当初は強盗罪で逮捕・勾留していたものの、取り調べの中で窃盗罪しか成立しないということになっても、あらためて窃盗罪で再逮捕することはできません。

さらに、そもそも逮捕をするには、犯罪が行われたという嫌疑だけでは不十分で、その者が逃亡するおそれや罪証隠滅(証拠を隠したり、捨ててしまったりすること)のおそれがある場合に限られています。

ですから、このようなおそれがない場合に、ただ身柄拘束して取り調べをすることを目的に逮捕をするのは違法であると考えられています。

ただ、実際には、軽微な事案で、逃亡するおそれや罪証隠滅のおそれがほとんどないにもかかわらず逮捕されてしまうことも少なくありません。

ですから、刑事事件のプロである弁護士に、そもそも逮捕が許される場合なのかどうかを、被疑者の側に立って検討してもらうことも大切です。

8、再逮捕されそうになったときの対処法

既に逮捕状が発布されている場合には、逮捕を免れることはできませんから、逮捕後すぐに弁護士と面会をして対処法を相談することが重要です。

逮捕されると、すぐに捜査機関が取り調べをして調書を取ろうとします。

特に、証拠が少ないような事案については、まず被疑者の自白を取ろうとする傾向があり、被疑者が弁護士と面会する前に少しでも供述を取ろうとすることが少なくありません。

ただ、被疑者には黙秘権が認められており、何もしゃべらないことで不利益になることはありません。

ですから、まず弁護士と面会するまでは何も話さない(供述調書にサインしない)というのも有効な方法です。

また、逮捕状が実際に発布されていない場合でも、捜査官から、「自白しないと再逮捕する」とか「自白すれば再逮捕しない」「自白すれば起訴しない」などと持ちかけられ、身柄拘束を長引かせたくないなら自白するよう迫られる場合もありますが、そもそも、逮捕するかどうか、起訴するかどうかを決定する権限が一捜査官にあることは滅多にありません。

ですから、このような利益誘導を受けた場合は、その旨をきちんとメモしておき、弁護士に報告して対応してもらうことが必要です。

9、再逮捕に関する相談先

逮捕や、再逮捕は、刑事事件に関する手続きです。

刑事事件に関するご相談は弁護士以外には認められていないので、何か不明な点があったり、不安な点があったりする場合は弁護士に相談されることをお勧めします。

逮捕された場合、早い段階で当番弁護士もしくは被疑者国選弁護人と面会ができると思います。

その際に、きちんとその弁護士の氏名や連絡先を控えておき、弁護士に相談をしたいことが発生した場合は、警察官や留置所・拘置所の職員に申し出て、弁護士に連絡してもらうようにしましょう。

また、管内に事務所のある弁護士の名簿を見せてもらうことも可能です。

刑事事件で身柄拘束を受けていると、捜査機関側の人間としか接することがなくなるので、非常に不安だと思います。

ただ、そのような精神状態のなかにあると、不利益な供述調書を作成されてしまう可能性が高いので、自分の側にたって考えてくれる弁護士に常に相談をしながら捜査官に対応することが重要です。

まとめ

再逮捕は、それによって身柄拘束期間が延びてしまうことから被疑者にとっては非常に不利益な手続きです。

といっても、再逮捕が別件逮捕の目的で利用されたり、何度も逮捕が繰りえされたりするような場合は、これを違法な再逮捕として争うこともできますし、弁護士がついていることで、捜査機関が再逮捕をためらう場面もあると思います。

また、捜査官が、自白を迫るために、犯行を認めないと再逮捕するなどと言ってくる場合もあります。

ただ、捜査官の言っていることが本当に正しいのかどうか、身柄拘束を受けた状態ではなかなか判断することもできないと思いますので、逮捕や再逮捕に関して疑問がある場合は、速やかに弁護士に相談されることをおすすめします。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
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