3、友達からの借金を返せなくなってしまったときの対処方法
では、本項では、借りた側が返せなくなったときの対処方法や注意点についても確認しておきましょう。
(1)誠実に対応するのが大原則
お金を貸してくれる友人の多くは、「善意」でお金を貸してくれています。
返済期限や利息に定めがないのも債務者の苦しい経済事情をおもんばかっての配慮です。
したがって、お金を貸してくれた相手に「誠実に対応する」のが、友人としての最低限のマナーではないでしょうか。
思うようにお金を返せない事情には、打ち明けづらい(格好の悪い)事情もあるかもしれませんが、きちんとした理由・事情を打ち明ければ、相手も「いつまでも返してくれない」と気持ちをヤキモキさせずに済むかもしれません。
あなたのためにお金を融通してくれた友達は、基本的にはあなたの「味方」であるということを絶対に忘れるべきではありません。
(2)債務整理すると友達からの借金はどうなる?
多額の借金が返せなくなったときには、「債務整理」を行うことで抱えている借金の減免を受けることができます。
友達からの借金があるときには、その借金への影響が気になって、債務整理に踏み切れないという場合も多いと思います。
しかし、これから解説するように、債務整理をするときに友達からの借金のことを心配する必要はあまりないといえます。
①債務整理による借金減免
前提知識として、債務整理のおける借金減免の効果について確認しておきます。
債務整理による減免効果は、実際に行う手続きによって次のように異なります。
債務整理の種類
借金減免の内容
任意整理
・相手方と同意できた範囲だけ
※通常は将来利息のみ
※任意の手続きなので友達からの借金を除外できる
個人再生
・法律で定められた一部の債務を除くすべての債務の一部が免除
・免除されない部分は、原則3年の分割払いで返済
※友達からの借金を除外できない
自己破産
・裁判所に届け出られた債務について返済義務が完全に免除される
※ただし免責不許可となった場合には返済義務は免除されない
※友達からの借金を除外できない
②友人からの借金は債務整理の対象とすべきか
借金減免の効果があることから、友人からの借金を債務整理の対象とすべきか迷ってしまう人は多いと思います。
また、借金が「免除されると友達に迷惑をかけるから」と債務整理に躊躇してしまう人もいるかもしれません。
しかし、債務者自身に「友達からの借金はきちんと返したい」という意思があるのであれば、債務整理の減免の効果は気にする必要がありません。
この点については、次の③で詳しく解説します。
他方で、自己破産・個人再生を行う際に「友達からの借金」を裁判所に申告しないことは大きな問題があります。
たとえば、自己破産する際に、故意で一部の債務(借金)を除外して申告すると、免責不許可となる可能性がかなり高くなります。
一部の債権者に対して不公平な対応をすることは、自己破産の手続きでは許されない行為だからです。
免責不許可となってしまえば、友達の借金だけでなく、他の借金の返済義務も一切免除されないので、「財産を強制的に処分されただけ」になってしまいます。
個人再生の場合には、申告をしなかったことで、逆に友達に迷惑をかけることになります。
個人再生において再生計画が認可されると、手続きの対象になったかどうかを問わず、すべての債務について一部免除(権利変更)の効果が生じます。
手続きの対象となった債務については、裁判所に認可された再生計画に基づいて返済を行うことになりますが、手続きの対象外となった債務は、「劣後債権」として再生計画が終了するまで一切の返済が禁止されるからです。
つまり、個人再生の場合には、手続きの対象にすれば定期的に分割で返していけるのですが、手続きから除外すれば「減額された上に返済もしばらくしてもらえない」ということになってしまいます。
③債務整理後に任意で返済するのは自由
債務整理による借金の免除は、「法律上の返済義務」を免除させるに過ぎません。
少し難しいと感じる人もいるかもしれませんが、「返済義務がなくなる」ということと、「借金自体がなくなる」ということは、法律の上では明確に区別されています。
つまり、自己破産・個人再生で返済義務(の一部)を免除された場合でも、「任意(債務者自身の自由意思)で友達からの借金を返す」ことは自由なのです。
ですから、債権者である友達に「きちんと返済する意思がある」、「金融機関からの借金を解決できれば、友達からの借金も返しやすくなる」ということを丁寧に説明すれば、借金を債務整理で解決することも理解してもらえる場合が多いのではないかと思われます。
「誠実に、きちんとコミュニケーションをとる」ということが何よりも重要です。
4、友達の借金でトラブルにならないために注意すべきポイント
友人間の借金でトラブルにならないためには、次の点に注意しておく必要があるでしょう。
(1)できるだけ借金の関係を作らない
友人間では「お金の貸し借りをしない」というのが、やはり一番の基本といえます。
友達同士での借金は、善意・好意を前提とする場合がほとんどですから、フェアな関係を築きづらいからです。
(2)どうしてもお金の貸し借りをしなければならないときの注意点
やむを得ない事情があって、友達との間でお金の貸し借りをしなければならないときには、次の点に注意することが大切です。
金額をできるだけ小さくする
返済日を明確にする(できるだけ近い日時を設定する)
利息などを定めるときには「フェアな条件」に設定する
約束(契約・同意)した内容は文書化する
契約書・念書・借用書を作成することには抵抗を感じる人も多いかもしれません。
特に貸した側から言いづらいということも多いと思います。
しかし、文書がないことは、双方にとって甘えの原因にもなりかねません。
また、後日になって「言った、言わない」の水掛け論が生じるリスクもあります。
お互いに気持ちの良い関係を継続するために、文書化は必要と考えておいた方がよいでしょう。
配信: LEGAL MALL