「新宿野戦病院」で主演を務めている小池栄子さん(2021年1月、時事通信フォト)
【えっ!】衝撃の結果… 内閣府の「子供の生活状況調査」 親、大人からの悪口、暴力、麻薬…にさらされている子も!
俳優の小池栄子さん主演で、東京・新宿歌舞伎町を舞台にした連続ドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ系、毎週水曜午後10時)が放送されています。本作では、「トー横キッズ」をはじめ、貧しい路上生活者や在留外国人、ホストや風俗嬢など、特殊な“ワケあり”背景を持った患者たちが登場しています。
小池さん扮(ふん)する女医のヨウコ・ニシ・フリーマンの“救急医療”エンターテインメントとなっていますが、現代社会における“不条理”も同時に描いています。本作では社会的弱者の現状や居場所がない若者がどのように描かれているのでしょうか……。
「平等」だけど、「平等」ではない日本社会の現実
ヨウコはアメリカ国籍の元軍医で、彼女自身も歌舞伎町に集う人たちと同じように複雑なバックグラウンドを背負っています。ヨウコは自身が軍医になった理由を「命が平等じゃないからじゃ」「だけど戦地では平等」と第1話で明かしていました。
アメリカ暮らしが長いヨウコが驚いたように、日本は医療制度に恵まれており、公平性が保たれた国のようにも見えます。しかし、実情はそうでもないことが、本作の5話で描かれていました。同話では、ホームレスの男性よりも防衛副大臣の治療が大病院で優先されるという事態が発生。命は平等であるはずなのに、医者たちは公平性に欠ける行為をあえて選択……という展開でした。
現実においてもこれと似たようなことがないわけではありません。総務省がまとめた「高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)-入院、入所の支援事例を中心として-」のアンケートで、身元保証人がいない患者の受け入れを躊躇(ちゅうちょ)する病院は少なくないという旨が読み取れます。また、保険適用外の最先端の治療を受けられるのも、ワンランク上の快適な病室を選べるのも富裕層に限られます。
あてもなくさまよう少年・少女たち…彼らにとっての「安全な場所」とは…
本作では、家庭や学校に居場所がなく、歌舞伎町に流れ着いた少年・少女たちにとっての居場所の問題も扱われています。2話では 、地域課の巡査・岡本勇太(濱田岳さん)が歌舞伎町を夜遅くにさまよう女の子2人組に声をかけるシーンがありました。勇太は彼女たちを青少年育成条例に基づいて補導しようとしますが、NPO法人「Not Alone」の新宿エリア代表・南舞(橋本愛さん)は「補導してどうするんですか?」「親と連絡取れなかったら 児童相談所って感じですよね」と阻止します。
現実においても「東京都青少年の健全な育成に関する条例」で18歳未満はカラオケボックス、漫画喫茶、インターネットカフェ、映画館、ボーリング場などに午後11時から午前4時の時間帯は立ち入りが禁じられています。しかし、夜の街をさまよう少年・少女は深夜の時間帯に商業施設へ入ることが禁止されれば、自宅に帰るという単純な話ではないように思います。また、少年・少女は自宅に居れば安全というわけでもないのが現状です。トー横キッズの少女・マユ(伊藤蒼さん)は自宅で、母親の交際相手の男からDVを受け、危険と隣り合わせになりながら生活をしていました。
内閣府が公表している調査結果「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」によると、保護者との関係の中で複数の逆境体験を経験した人は2割前後存在しています。逆境体験の項目には、一緒に住んでいる大人から悪口を言い立てられる、身体を傷つけられるといった心身の危険に関わる事や、家族の誰からも愛されていない、大切にされていないと感じるなど、精神的な面もあります。
配信: オトナンサー