○北朝鮮の経済に影響力の大きい中国
そもそも北朝鮮は山の多い土地であり、緯度も高く寒い気候のため、農作物を育てるのには不向き。北朝鮮はニュースでも頻繁に取り上げられるほど、国内の貧困や食糧事情が問題になっています。反面、都市部では高層マンションが並び、高級車が走っているというニュースも…? 北朝鮮の豊かさを支えるカギが、貿易にあります。
北朝鮮は山が多い分鉱物資源が豊富で、石炭などの燃料がたくさんとれます。この燃料を国外に売り、そのお金で車などの燃料になる石油、電気製品を買っているのです。そして、この貿易の主な取引相手が中国。2015年のデータでは、実に北朝鮮の貿易の91.3%が中国を相手としたものだったそう。つまり、中国が北朝鮮と取引をやめれば、一気に北朝鮮の経済は立ち行かなくなってしまうわけ。
○北朝鮮のなりたちと中国の関わり
歴史の上でも中国は北朝鮮の成立と深く関わっています。北朝鮮建国の中心となった、故・金日成主席は元々中国共産党のメンバーでした。朝鮮戦争が始まると、ソ連・中国が支援する北朝鮮と、アメリカ・国連が支援する韓国という構図が描かれ、一度は勢力を拡大した北朝鮮ですが、その後アメリカ軍の参戦により北朝鮮は危機的状況を迎えます。
そこで手をさしのべたのが中国。金日成は一度中国に身を移し、中国はその後軍隊を朝鮮半島に派遣。中国の人民軍により一気に現在の国境のラインまで勢力を押し返し、現在までその勢力は維持されています。このように、北朝鮮の成立には中国が大きく関わっているため、中国の影響が大きいとも言えるでしょう。
歴史的にも、現在の経済にとっても北朝鮮に大きな影響を及ぼしている中国は、まさに北朝鮮にとって親のような存在。そのため、中国の言うことならば北朝鮮も聞くのでは無いかという期待が各国にあるため、中国の北朝鮮に対する態度が注目されているのですね。
(文・姉崎マリオ)