喫煙が肺などに影響し、健康に害を及ぼすことは広く知られていますが、歯周病などの口腔内トラブルを招くこともご存じでしょうか。
喫煙が口腔内に与える影響
歯周病を発症しやすい
たばこの煙の中には数千ほどの化学物質が含まれており、その中には健康を阻害する有害物質が200以上も含まれています。口から吸い込むため一番初めにたばこの影響を受けるのが歯や歯茎です。
歯に有害物質が付着し、口臭やヤニの原因になるだけでなく、歯周病にかかりやすくなるのも特徴です。歯周病を患っている状態で喫煙を行うと、治りにくい状態になり重症化のリスク増加も懸念されます。
歯周病が治りにくい
また、喫煙していると歯周病が治りにくい状態になる原因として挙げられるのが「一酸化炭素」と「ニコチン」です。
一酸化炭素は体内に入り込むと酸素供給を妨げるため、歯茎などの組織に十分な酸素が行き渡らなくなります。ニコチンは血管収縮を引き起こし、血液循環を悪化させたり歯茎の血流量が減少したりするのが特徴です。この状態になると体が酸欠や栄養不足に陥り、歯周ポケットに歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります。こびりついたヤニにより歯の表面がざらざらとした質感になり、菌が付着しやすい状態で歯周病リスクもさらに増加します。
歯周病に気づきにくい
また、ヤニが歯にこびりついている状態はニコチンが歯肉に染みこみ続けるので喫煙は歯周病になりやすい状態ですが、同時に歯周病の症状に気付きにくいのも特徴です。有害物質による血管収縮で血行不良になると、歯茎からの出血や腫れが現れにくくなり、初期症状を見逃して歯周病が重症化してから気づく場合も少なくありません。
歯周病の予防、治療のために禁煙を心掛ける
歯茎からの出血や腫れは健康な体で起きる生体防御反応であり、不健康な体では歯周病のサインも見逃してしまいます。体が不健康な状態では治療を行っても効果が低く、歯周病治療を効率良く行うには、まずは禁煙して体を健康に近づけていくことがとても重要です。歯周病の予防、治療の効果をしっかり高めるためにも禁煙を心がけましょう。
配信: 医科歯科健診コラム