「放射線治療の照射回数」はご存知ですか?費用についても解説!【医師監修】

「放射線治療の照射回数」はご存知ですか?費用についても解説!【医師監修】

放射線治療の流れ

放射線治療の流れには、5つの段階があります。

放射線腫瘍医の診察、説明

放射線治療を検討する際、まず放射線腫瘍医の診察を受けます。医師は、がんの状態や全身の状態、検査結果、治療歴などを総合的に評価し、放射線治療の適応を判断します。治療を行う場合、照射方法、目的、副作用、併用治療などについて説明を受けます。

シミュレーション

シミュレーションでは、治療時と同じ体位で撮影装置、例えばCTやMRIの撮影を行います。撮影により、放射線を照射する範囲や方向、体位などを決定します。呼吸状態の測定や、機器との接触確認なども行われます。CTを用いる場合、CTシミュレーションと呼ばれます。

皮膚や固定具にマーキングを施し、毎回同じ体位を再現できるようにします。マーキングは治療期間中、消さないようにしてください。部位によっては、シェルと呼ばれる固定具を使用することもあります。

治療計画を作成

放射線治療計画の作成は、放射線腫瘍医を中心としたチームによって行われます。治療計画装置と呼ばれる専用のコンピューターを用いて、照射部位、照射方向、線量、分割回数などを決定します。
がんの部位だけでなく、周囲の正常組織や、がん細胞が残存している可能性のある領域も考慮し、それぞれの線量分布を詳細に計算します。

患者さんの治療目的や全身状態なども考慮した上で、適切な治療方法が選択されます。放射線治療計画は、個々の患者さんに合わせてオーダーメイドで作成されるため、綿密な検討と調整が必要とされます。

放射線の照射

放射線治療室での照射は、診療放射線技師によって行われます。患者さんは治療室で体位を固定され、技師は隣接する操作室からモニターで患者さんの様子を常に確認しています。マイクを通して、患者さんはいつでも技師に話しかけられ、体調不良時には治療を中断できます。

初回照射では位置合わせや確認作業に時間がかかりますが、2回目以降は短時間で終了します。照射自体は数分ですが、その間は動かずにいる必要があります。シミュレーションで作成した固定具を使用し、毎回正確に同じ体位を再現します。照射中の痛みはないといわれています。

治療期間中の生活

放射線治療を受ける患者さんは通院しながら治療を行い、日常生活を続けられます。

照射は原則として毎日行われ、土日祝日は休みです。治療期間は、病状や治療目的によって異なり、1日〜2ヵ月程度と幅があります。

治療期間中は、放射線腫瘍医による定期的な診察が行われます。副作用への対処や治療計画の調整のため、薬の処方や追加のCT撮影が必要になることもあります。

照射回数と期間

放射線治療の照射回数と期間は、がんの部位や大きさ、病期などによって異なりますが、10回〜40回程度の照射が行われ、平均的には25回前後が多いようです。

週に5回のペースで、平日に照射が行われます。土日祝日は休止となりますが、年末年始や機器の点検期間などには、休日照射を行って調整することもあります。

1回の治療時間は、準備や位置合わせも含めて15〜40分程度です。照射自体は数分で終わりますが、毎回正確に照射位置を合わせる必要があるため、ある程度の時間を要します。

治療に必要な全期間は、おおむね4〜8週間程度が平均的といわれています。ただし、がんの種類や部位、進行度、患者さんの全身状態などによって、個人差があります。

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