「脳卒中」は最悪の場合、死に至る疾患ですが予防できることをご存じですか? 今回は、日常生活でできる脳卒中の予防法について、「上田クリニック」の上田先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【日本人の死因第4位「脳卒中」ってどんな病気? 医師が原因や予防法を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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監修医師:
上田 啓太(上田クリニック)
東邦大学医学部医学科卒業。その後、東邦大学医療センター 大森病院、東京蒲田医療センター、東邦大学医療センター佐倉病院などで脳神経外科医として勤務。2022年、神奈川県横浜市に位置する「上田クリニック」の院長に就任。難病指定医。日本脳神経外科学会専門医・指導医、日本脳卒中学会専門医・指導医、日本脳神経血管内治療学会専門医。日本頭痛学会、日本老年脳神経外科学会の各会員。
編集部
脳卒中にならないためには、どうしたらいいのですか?
上田先生
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の発症原因を意識して、コントロールしていくことが脳卒中の予防につながります。
編集部
具体的には「高血圧」「血液ドロドロ」「心疾患」などですか?
上田先生
そうですね。まずは、ご自身の血圧や血中コレステロール値などを知ることが大切です。また、「糖尿病」や「心疾患」も脳卒中と関連しているので、いわゆる「糖尿病予備軍」と言われたことがある人や、心疾患や慢性疾患がある人は、とくにご自身の健康状態に意識を向けてください。会社や自治体の健康診断を活用し、結果で心配な数値が出た場合は、きちんと対処するように心がけましょう。
編集部
ほかには何かありますか?
上田先生
基本的なことですが、アルコール・タバコなどの嗜好品や暴飲暴食は控えましょう。また、適度な運動やストレスをためないこと、十分な睡眠を取ることなども脳卒中の予防になります。
編集部
くも膜下出血の原因である脳動脈瘤についてはどうですか?
上田先生
脳動脈瘤は発症するメカニズムがわかっていないことも多く、発症していても症状が全くない場合がとても多いのです。しかし、脳動脈瘤はほかの疾患と違い、発見時に手遅れということはありません。脳動脈瘤が破裂していなければ、完治が可能だからです。30歳を過ぎたら、定期的に「脳ドック」を受けて、気になる所見がないか、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。とくに40代以降の人、脳卒中を罹患したご家族がいる人、糖尿病や心疾患のある人は、ぜひ一度、脳ドックをしている医療機関に相談してみてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
上田先生
近年、脳卒中の救命率は上がっていますが、重篤な後遺症を抱える人が非常に多い疾患です。しかし、自分の状態を知って、適切に対応していくことである程度防ぐことができる疾患でもあります。「適度な運動」や「アルコールを控えて、喫煙をしているなら禁煙をする」などを頑張っても、すぐには結果が出ないかもしれませんが、定期的に検査を受けていると、少しずつ変わっていくのがわかるはずです。「健康診断で気になる数値が出てしまった」という中高年の人は、とくに意識してみてください。
配信: Medical DOC