ハザードマップは何種類ある? 災害の種類と見方を解説


写真:PIXTA

ハザードマップは、自分の住んでいる地域や職場などについて、「どのような災害のリスクがあるか」「災害が起こった場合はどこに避難したらいいのか」などがわかる地図です。

防災にハザードマップが役立つとわかっていても、その種類や使い方まではよく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。

ハザードマップは主に7種類あります。

この記事では、ハザードマップの種類ごとの見方やポイントを解説します。

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ハザードマップは7種類ある

ハザードマップは自治体から入手できるほか、国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」でも、オンラインで簡単に見ることができます。

重ねるハザードマップを使うと、全国の「洪水・内水」「土砂災害」「高潮」「津波」の4種類のハザードマップを確認できます。「火山」「ため池」「地震」のハザードマップは、各自治体が発行しているものをチェックしましょう。

ただし、高潮の被害がない山間部のように、特定の災害のリスクがない地域では、7種類のハザードマップのうち、一部は作成されていない場合もあります。

ここでは、重ねるハザードマップや自治体が発行している計7種類のハザードマップを紹介します。

なお、重ねるハザードマップでは、項目ごとに表示される「指定緊急避難場所」にチェックを入れると、災害ごとの避難場所を表示することもできます。


出典:国土交通省「重ねるハザードマップ

①洪水・内水


出典:国土交通省「重ねるハザードマップ 洪水・内水

洪水・内水のハザードマップは、大雨によって河川の氾濫や浸水が発生した場合に、どれくらいの浸水深になるかを予想しているマップです。

例えば、ピンク色に着色されているエリアでは、最大5mの浸水が発生し、2階部分まで浸水する可能性があることを示しています。

洪水・内水に関連する気象警報・情報

・大雨警報(浸水)

・大雨特別警報

・洪水警報

・記録的短時間大雨情報

 ②土砂災害


出典:国土交通省「重ねるハザードマップ 土砂災害

土砂災害のハザードマップは、大雨や地震などによって崖崩れや土石流、地すべりが起こる可能性のあるエリアを表示しているマップです。

黄色(イエローゾーン)の部分は、土砂災害が発生した場合に、住民の生命や身体に危害が及ぶ可能性のある「警戒区域」です。

赤色(レッドゾーン)の部分は、土砂災害が発生した場合に、建築物の損壊が生じて住民の生命や身体に著しい危険が生じるおそれのある「特別警戒区域」となります。

黄色や赤色の部分は土砂災害のリスクが高いエリアであるため、大雨や地震発生時には、気象情報や自治体の避難情報にもとづいて避難が必要になる場合があります。

土砂災害に関連する気象警報・情報

・大雨警報(土砂災害)

・大雨特別警報

・土砂災害警戒情報

③高潮


出典:国土交通省「重ねるハザードマップ 高潮

高潮のハザードマップは、台風や発達した低気圧によって高潮が発生した場合に、どれくらいの浸水深になるかを予想したマップです。高潮が発生すると、海岸から近い場所では浸水する可能性があります。

高潮に関連する気象警報・情報

・高潮警報

・高潮特別警報

 ④津波


出典:国土交通省「重ねるハザードマップ 津波

津波のハザードマップは、津波が発生した場合にどれくらいの浸水深になるかを予想したマップです。

なお、津波は破壊力があるため、内水や洪水、高潮の浸水に比べ、浸水深が小さくても大きな被害につながる場合があります。浸水が予想されているエリアでは津波発生時に避難や身を守る行動が必要です。

津波に関連する警報・情報

・津波警報

・大津波警報

⑤火山


出典:静岡県「富士山ハザードマップ

火山のハザードマップは、火山の噴火の際に予想される被害や避難所などを示したマップです。

火山が噴火すると、降灰、溶岩流、火砕流など、様々な災害が起こります。火山の噴火で被害が想定される都道府県や市区町村では、予想される火山災害をまとめたハザードマップの公開を行っています。

火山に関連する警報・情報

・噴火警報(火口周辺)

・噴火警報(居住地域)

⑥ため池


出典:千葉県市原市「郡本堰(小堰)_ため池ハザードマップ

ため池ハザードマップとは、地震や大雨によりため池が決壊した場合に予想される浸水状況や避難所などを示したものです。

ため池の決壊によって被害が想定される都道府県や市区町村では、独自にため池ハザードマップの作成を行っています。

 ⑦地震


出典:東京都総務局総合防災部防災計画課「東京被害想定マップ

地震ハザードマップは、地震による被害を予想し、その被害範囲を表したマップです。地震による被害が想定される都道府県や、市区町村が独自に作成して公開しています。

なお、上の図で紹介しているハザードマップは、東京都が公開している東京被害想定マップと呼ばれるものです。予想される震度分布以外にも、「液状化危険度」「建物全壊棟数」「焼失棟数」などの表示もできます。

いざというときに備えてハザードマップを活用しよう

防災で大切なことは、自分の生活圏で起こりうる災害リスクと避難場所を把握することです。この2つを正しく理解しておくと、災害が発生したときにスムーズに避難できるでしょう。

災害はいつどこで発生するかわかりません。災害リスクと避難場所を知っておくためにも、改めてハザードマップを確認し、防災意識を高めましょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志

防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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