がんの概要
がんは悪性腫瘍とも呼ばれ、遺伝子が傷つくことで起こる病気です。
私たちの体にある細胞は、生命維持のために分裂を繰り返していますが、分裂する際、遺伝子に傷がつくことがあります。通常であれば傷ついた遺伝子は「修復酵素」と呼ばれる酵素の働きにより修復が行われますが、不完全な修復で終わる場合があります。
修復に失敗した細胞の多くは死んでしまうのですが、中には生きながらえる細胞もいます。この生きながらえた細胞が、突然変異してがん細胞に変化する可能性があるのです。
正常な細胞は、必要に応じて分裂していき、必要がなくなれば分裂を止めます。一方、がん細胞の場合は、止まることなく無秩序に増え続けるのが特徴です。
がんの種類は次のように分けられます。
大分類
小分類
がんの例
固形がん
がん腫
大腸がん、肺がん、胃がん、前立腺がん、すい臓がんなど
肉腫
脂肪肉腫、骨肉腫など
血液がん
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悪性リンパ腫、白血病など
2022年に厚生労働省と国立がん研究センターが公表した2019年のデータによれば、部位別がん罹患数は、男性だと「前立腺がん」「大腸がん」「肺がん」の順に多く、女性だと「乳がん」「大腸がん」「肺がん」の順に多いと報告されています。
(出典:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対)」)
また、厚生労働省が2023年に公表した2022年のデータによれば、部位別がん死亡数は、男性だと「肺がん」「大腸がん」「胃がん」、女性だと「大腸がん」「肺がん」「すい臓がん」の順に多いと報告されています。
(出典:厚生労働省「令和2年全国がん登録罹患数・率報告」)
高齢化の影響もあり、がんの罹患者と死亡者数は増えています。しかし高齢化の影響を除くと、がんで死亡する人の割合は1990年代半ばから減少傾向にあります。
がんの原因
がんの発症は「遺伝要因」と「環境要因」が関与しています。家系内にがんを発症する方が多い、若くしてがんを発症した家族がいるといった場合、遺伝的にがんになりやすい体質である可能性があります。
環境要因に関しては、喫煙や日頃の食生活、飲酒、肥満などの生活習慣、年齢、肝炎ウイルス、ピロリ菌などへの感染、発がん性のある化学物質の取り込みなどが該当します。
生活習慣に関して、喫煙で1.6倍、飲酒で1.4〜1.6倍、肥満で1.22倍、がんの発症リスクが上がると推計されています。
(出典:環境省「がんのリスク(生活習慣)」)
それぞれの生活習慣が発症リスクを上げるがんの種類は、以下のとおりです。
喫煙:肺がん・喉頭がん・尿路がん・口腔がん・咽頭がん・子宮頸がんなど
食事:大腸がん・胃がん・食道がん・鼻咽頭がんなど
飲酒:口腔がん・咽頭がん・喉頭がん・食道がん・大腸がん・肝臓がん・乳がんなど
肥満:食道がん・肝臓がん・乳がん・腎臓がん・すい臓がんなど
感染:肝臓がん・子宮頸がん、胃がんなど
化学物質:肺がん・尿路がん・喉頭がんなど
配信: Medical DOC