呼吸不全の前兆や初期症状について
呼吸不全の症状は呼吸苦や息切れです。COPDの場合、まずは動作時に息切れを伴うようになり、進行すると安静時でも呼吸苦を訴えるようになります。
体内の酸素濃度が低下した状態が続くと、脳への酸素供給が不足する影響で頭痛や意識消失を起こす可能性があるため、注意が必要です。急激に発生した呼吸苦の場合は喘息発作や肺気胸による呼吸不全が疑われます。
また、呼吸苦に胸痛が伴う場合には肺梗塞が考えられるため、すぐに救急車を呼び医療機関への受診を検討してください。
呼吸不全の検査・診断
呼吸不全では血中の酸素や二酸化炭素の濃度、肺に画像上で変化があるかなどを確認します。
血液ガス分析
血液ガス分析とは、動脈に流れている血を分析する検査です。Ⅰ型とⅡ型の呼吸不全を鑑別診断する際にも使用されます。特に二酸化炭素が溜まっているかどうかで、酸素療法をどれぐらい行うべきかの判断が可能です。また、体内の酸塩基反応(血液内の酸素と二酸化炭素による化学反応)を確認し、体内pHが腎臓で調整されているかどうかも確認できます。
経皮的血中酸素飽和度(パルスオキシメーター)
パルスオキシメーターは皮膚の上から動脈血に光を当てて酸素飽和度を測定する機械です。簡単かつ迅速に低酸素の有無を測定でき、94%以下は低酸素の可能性があります。
血液検査
血液検査では心不全の有無を確認できるBNPや腎機能の状態を確認できるBUN/Creなどの数値を確認します。また、貧血の有無をみるHb(酸素を運ぶ能力が分かる)の数値も呼吸不全に関わる大事な要素です。
画像検査
Ⅰ型呼吸不全である急性の肺炎やARDSではレントゲン上、肺が白く移ります。一方、Ⅱ型呼吸不全であるCOPDではレントゲン上では肺の黒が濃くなり、肋骨の間が広がったり平坦になって見える傾向です。MRIでは炎症部分が白く映る様子や、肺の組織が壊れて肺の壁が不均等な様子が見えることがあります。
肺機能検査
スパイロメーターという機械を使用して息を吐いた量(肺活量)や1秒間で息を吐いた量、息を吐いた量の内1秒で吐けた割合(1秒率)を測定します。気道の閉塞の具合や薬の効果があるかどうかの判定でも使用可能です。
配信: Medical DOC