呼吸不全の治療
呼吸不全の治療はⅠ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全であるかによって大きく変わります。
Ⅰ型呼吸不全
体内の酸素濃度が下がっているⅠ型呼吸不全では、酸素療法が第一選択です。パルスオキシメーターや血液ガス分析の数値をみながら数値が正常になるまで酸素投与量を調整します。
酸素療法でも酸素濃度が上がらない場合は陽圧的酸素療法(NPPV:鼻や口に強い圧力と酸素を押し込んで肺を広げる装置)や人工呼吸器を使用する可能性もあります。
また、呼吸不全を引き起こしている疾患の治療も並行して行うことが重要です。肺炎であれば抗生剤、喘息であればステロイド剤、肺梗塞であれば抗凝固剤の使用、気胸であれば胸腔ドレナージ(肺に管を入れて空気を調整する)などが挙げられます。
Ⅱ型呼吸不全
Ⅱ型呼吸不全で最も頻度が高いCOPDでは、まず気管支を広げる吸入薬での薬物療法を試みます。
また、楽に呼吸できる呼吸法を練習したり、ストレッチや筋力トレーニングで筋力・体力をつけたりする呼吸リハビリテーションも重要な治療です。
それでも進行し、低酸素になってしまう場合は在宅酸素療法(HOT)が検討されます。HOTの導入には定期的な医師の診断に加えて、自宅内に酸素濃縮器(室内の空気を濃縮した酸素に変える機器)の設置や、酸素ボンベが必要です。
呼吸不全になりやすい人、予防の方法
呼吸不全は肺の機能が落ちている人やアレルギー体質の人がなりやすい傾向があります。呼吸不全の予防には、肺への負担を減らす習慣が必要です。肺への負担を減らすために喫煙や。副流煙への暴露に注意してください。
肺に負担をかけやすい風邪などの感染症予防も重要です。
風邪やインフルエンザ等の感染症を防ぐために手洗いうがいを心がける、人混みではマスクをつける、呼吸不全に関わる疾患のワクチン接種などの対策をしましょう。
アレルギーの発生を抑えるためには環境整備も大切になります。
こまめに掃除を行い、普段いる環境を清潔に保つよう心がけてください。
また、定期的な運動や健康的な食生活を心がけることでも肺の健康を維持することができます。
関連する病気
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
肺結核性後遺症
間質性肺炎
エコノミー症候群
参考文献
厚生省特定疾患呼吸不全調査研究班:昭和56年度研究報告書
一般社団法人日本呼吸器学会急性呼吸不全・ARDS
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌2023年 第31巻 第 2 号慢性呼吸不全
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌2016年 第26巻 第 2 号 呼吸不全の病態生理
人工呼吸Jpn J Respir Care 2020;37:132-145
厚生労働省筋萎縮性側索硬化症
日本内科学会 雑誌 第79巻 第6号 ・平成2年6月10日.臨床症状からみた呼吸不全の診断
COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022
日集中医誌 2014;21:175-176パルスオキシメーターの低酸素血症検出に関する信頼性の検討
配信: Medical DOC
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