視作業を続けることで様々な症状を引き起こす「眼精疲労」。目がぼやける、痛みが出るなどはイメージできますが、ほかにどのような症状が出るのでしょうか。症状は“目”に限定されるのか、気になるところです。道玄坂糸井眼科医院の糸井先生に伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【眼精疲労の症状と目の疲れ対策を眼科医が解説 頭痛や吐き気・めまいの対処法にもなる】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
糸井 素純(道玄坂糸井眼科医院)
昭和59年順天堂大学医学部卒業。京都府立医科大学大学院へ進み、昭和63年に医学博士、平成元年に眼科専門医を取得。京都府立与謝の海病院(現・京都府立医科大学附属北部医療センター)、大津市民病院、順天堂大学眼科学教室助手、ニューサウスウェールズ大学(豪州)、ロチェスター大学(米国)、東京警察病院眼科(副医長)と歴任し、平成10年糸井眼科医院を開院、平成16年に医療法人社団松六会 道玄坂糸井眼科医院を開設。順天堂大学眼科学教室の非常勤講師(円錐角膜に対するコンタクトレンズ処方を担当)、日本コンタクトレンズ学会常任理事兼任。
編集部
眼精疲労とはなんでしょうか?
糸井先生
眼精疲労とは日頃から目を酷使する人によく見られる目の病気で、目が重い、かすむ、頭痛がする、吐き気がする、肩こりがするなどの症状を伴うことがあります。
編集部
なぜ、眼精疲労になると頭痛や吐き気、肩こりが起きるのでしょうか?
糸井先生
そもそも、人間がものを見るときにはピントを合わせる必要がありますが、このとき、ピントを合わせるのは「毛様体筋」という筋肉の役割です。毛様体筋は水晶体のまわりにあり、扁平の形をしていて、近くを見るときは毛様体筋が収縮して水晶体が厚くなります。つまり、近くにあるものをずっと見続けると毛様体筋の収縮が続くことになり、毛様体筋は過度に緊張して、痙攣状態が続いてしまいます。
編集部
それがなぜ、肩こりなどを引き起こすのでしょうか?
糸井先生
毛様体筋の過度の緊張は、ストレスとして脳へ伝達されます。すると脳はストレス反応を起こし、首や肩などの筋肉を緊張させようとします。また、ストレスが原因となって自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過度に優位になることで、肩こり、頭痛、動悸なども起きるのです。
編集部
眼精疲労は単に目の問題ではないのですね。
糸井先生
気をつけていただきたいのが、安易に眼精疲労と自己判断しないでほしいというところです。眼精疲労の背景に、緑内障やドライアイなどの病気が隠れているかもしれません。そのため眼精疲労の症状が見られたら、眼科で診察してもらうことが必要です。
配信: Medical DOC
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