薄毛の進行を止めるフィナステリド(プロペシア)は、飲み始める時期が早いほど効果の実感をしやすいといわれています。また、飲み続けることで効果を持続させるのです。
しかし、薬である以上は副作用のリスクを考慮しなければなりません。薬の種類によって、ほかの薬や食べ物との併用に注意しなければならないことがあります。
本記事では、フィナステリドの飲み合わせについて解説します。適切に薬を服用するために知っておくべき知識なので、薬を服用するか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
監修
フィナステリド(プロペシア)の飲み合わせについて
薄毛治療で、誰しもが気になるのが薬を飲むリスクではないでしょうか。副作用が起こる過程はさまざまですが、飲み合わせが原因で起こるケースがあります。飲み合わせとは複数の薬や食べ物を一緒に服用することで、薬の効果が落ちたり、上がったりすることです。
専門的には薬物相互作用と呼び、本来の薬の効果が発揮されなかったり、効果が強くなりすぎて副作用が出たりすることをいいます。薬を服用する時は、事前に飲み合わせを確認することが大切なのです。
ここでは、日常で摂取しているサプリメント・食事・薬とフィナステリドの飲み合わせについて解説します。
サプリメントとの飲み合わせ
サプリメントとの飲み合わせは問題ないといわれています。サプリメントとはビタミン・ミネラルなどの健康維持に必要な成分を凝縮した健康食品で、不足した栄養を補う目的で利用されています。
例えば、亜鉛やビタミンが挙げられます。なお、AGA専門のクリニックでは独自のサプリメントが販売されているため、サプリメントは専門の医師からも推奨されています。
食事の影響
サプリメント同様に食事の影響も受けません。フィナステリドが体に吸収される過程で、食事の影響を受けないという試験結果があるからです。
試験内容は健康な成人を対象に空腹時と食後30分で、それぞれ7日間フィナステリドを服用した後の吸収量を調べるというものです。その結果、フィナステリドの体内の濃度はどちらもほとんど変わりませんでした。
つまり、食事に影響を受けずに薬はしっかりと体内に吸収され、薬の効果を発揮したことになります。
併用に注意が必要な薬剤
併用に注意が必要な薬剤もほとんどありません。フィナステリドとほかの薬の相互作用を確認した試験がありましたが、いずれも影響を示さなかったとのことです。
また、併用禁忌の薬もないといわれています。それゆえにフィナステリドは相互作用が起きにくい薬といえるでしょう。
併用に注意が必要な薬剤はほとんどありませんが、医療機関を受診した際には念のためフィナステリドを服用していることを伝えるようにしてください。
ほかの薬との併用時に相互作用がないと確認されている薬剤
薬は製造の過程で、安全性を確認する試験を行っています。フィナステリドでは下記の薬剤(成分)との相互作用が確認されておらず、併用は問題ありません。
アンチピリン
プロプラノロール
ジゴキシン
グリベンクラミド
ワルファリン
テオフィリン
オメプラゾール
ここでは、それぞれの薬の特徴について解説します。フィナステリドとの相互作用はありませんが、ほかの薬で起こる相互作用も紹介するので、参考にしてみてください。
アンチピリン
アンチピリンはピラゾロン骨格を有する消炎鎮痛成分です。消炎鎮痛剤はピリン系と非ピリン系に分類され、アンチピリンは非ピリン系に属します。市販の風邪薬のなかに入っており、ほとんどはイソプロピルアンチピリンという成分で使用されています。
頭痛や発熱などの身近な症状に使われますが、フィナステリドとの飲み合わせは問題ありません。なお、医療用ではSG配合顆粒のなかに入っている成分で、非ピリン系であるアセトアミノフェンとの合剤として使われています。
風邪薬には鎮痛成分であるイブプロフェンやアセトアミノフェンが入っていることがほとんどであるため、医師や薬剤師に相談したうえで服用するようにしましょう。
プロプラノロール
交感神経の動きを抑える働きにより、高血圧や心臓疾患に使われる成分です。片頭痛に対しても有効で、幅広い疾患の治療薬として使われています。しかし、気管支喘息や心不全の疾患を持っている患者さんには禁忌の薬です。
また、片頭痛治療薬であるリザトリプタンとは併用禁忌であるため、薬を服用する際は相互作用に注意が必要です。
ジゴキシン
心臓の動きを強くする働きがあり、心不全などの心疾患に使われる成分です。ジゴキシンは人によって有効な投与量が異なるため、少量から徐々に薬の量を増やしていく必要があります。投与量が多いとジギタリス中毒といわれる副作用が出るためです。
また、フィナステリドと異なり、鎮痛剤やビタミン製剤などの多くの薬との相互作用があります。
グリベンクラミド
糖尿病の薬の成分の一つです。糖尿病は生活習慣病の一つでもあり、成人の6人に1人が発症するといわれています。糖尿病を発症すると、血糖値をコントロールするために食事管理と薬の服用を続けなければなりません。
フィナステリドとグリベンクラミドの併用は問題ありませんが、糖尿病にならないように日頃から食事や運動に気を遣いましょう。
なお、グリベンクラミドは肺高血圧症治療薬のボセンタンと併用禁忌です。
ワルファリン
血液を固まりにくくして、血栓の発生を防ぐ効果があります。心筋梗塞や脳梗塞の治療と予防に使用され、服用中は食べ物の制限や日常生活に注意が必要です。
ビタミンKは血液を固める働きがありますが、ワルファリンはビタミンKの働きを抑えることで血液をサラサラにする効果を発揮します。
そのため、ワルファリン服用中はビタミンKを豊富に含む納豆や青汁を摂取してはいけません。
また、血液が固まりにくくなっている状態ですので、ケガや強めの歯磨きなどの出血を招く行為をを避ける必要があります。
テオフィリン
気管支拡張効果があり、喘息患者さんに使用される成分です。てんかんや甲状腺機能亢進症の患者さんには慎重投与となっており、投与する時は持病の有無を確認することが大切です。
また、喫煙によりテオフィリンの代謝が促進され、テオフィリンの効果が十分に発揮されないことがあります。薬は生活習慣によっても影響を受けるため、お酒やたばこなどの嗜好品も医師に伝えるようにしましょう。
オメプラゾール
胃酸の分泌を抑える効果がある、胃薬の成分の一つです。胃潰瘍や逆流性食道炎、ピロリ菌除去の補助に使用されます。
ピロリ除菌では、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)の胃薬を合わせた3種類を併用し、7日間服用する必要があります。
ピロリ除菌中に飲酒をすると除菌率が下がるといわれているため、アルコールと薬の飲み合わせも注意が必要です。
配信: Medical DOC