夏の猛暑が当たり前になり、熱中症や夏バテを経験する方も増加傾向にある近年。体温調節の方法を知っておくことは、危険な暑い夏を乗り切る重要なポイントとなります。そこで今回はまだまだ暑い夏に、知っておきたい体温調節の方法として「夏野菜」にスポットを当てて、管理栄養士の門さんにお話を伺いました。
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監修管理栄養士:
門 沙那美(管理栄養士)
三重短期大学卒業後、地元である京都府北部に戻り、介護老人施設の厨房勤務をしながら一般受験で管理栄養士試験合格。第二子の出産を機に約11年勤務した同施設を退職。自身の経験から腸活やメンタル面を中心に学びを深め、現在は、自分らしく生きたいと気づいた方が、最期まで自分自身で選択し生き抜いていけるよう、心と身体の両面からサポート中。
夏野菜の栄養素・健康効果を解説
編集部
はじめに夏野菜に分類される野菜について教えてください。
門さん
夏野菜に分類される代表的な野菜はきゅうりやトマト、茄子やゴーヤ、スイカなどがあります。これらの野菜は旬である夏の時期に食べると一番栄養価が高く、夏の暑さを乗り切るために必要な栄養がたっぷり含まれています。
編集部
夏野菜にはどのような栄養素が多く含まれていますか?
門さん
夏野菜が持つ栄養の特徴として、「水分」や「カリウム」を多く含んでいることが挙げられます。その他、ビタミンCやビタミンAなどのビタミン群、さらには近年、「第6の栄養素」と呼ばれている食物繊維も多く含んでいます。
編集部
夏野菜の健康効果はどのようなものがありますか?
門さん
汗と共に流れ出るビタミンやミネラルが、夏野菜を摂ることで補うことが出来、結果として夏バテの予防に繋がります。また、お茶やお水などからの水分摂取だけで無く、食材でも水分を補給できることで熱中症の予防に繋がります。
夏野菜による体温調整は可能?夏バテ・熱中症対策になるのか
編集部
夏野菜は身体を冷やすときいたことありますが本当ですか?
門さん
夏野菜に多く含まれる栄養素「水分」と「カリウム」によって、尿が出やすくなり、尿と共に身体にこもった熱を出すことから、「夏野菜は身体を冷やす」作用があるといえます。ですが、この作用を活用することで、夏の暑さで上がった体温を調整することが出来るのです。
編集部
夏野菜以外にも夏に体の熱を下げる食べ物はあるのですか?
門さん
暑い夏になると摂りたくなる、冷製の料理や氷入りなどの冷たい水分の摂取も身体の熱を下げる作用があります。また、生ものや白砂糖や麺類など、「陰性」の性質を持った食材も身体の熱を下げる効果があります。夏野菜以外の野菜で言うと、「地面の上に出来る」「白い色、青い色、緑色の葉物野菜」に分類される野菜が、身体の熱を下げる野菜(陰性の野菜)と言われ、種類としては大根や白菜、小松菜などが挙げられます。
編集部
生野菜を食べると体温は下がりますか?
門さん
生の状態の野菜は水分やカリウムなどが多く残っているため、夏野菜が持つ効果と同じく体温を下げやすいと言えます。一度にたくさんの量を摂る、または頻回に食べ続けると、体温が下がり身体が冷え、体調が崩れやすくなるので適度に取り入れる、摂り方を工夫することをオススメします。
編集部
夏野菜による体温調節は可能ですか?
門さん
これまでもお話したように、夏野菜のもつ作用や、その他の身体の熱を下げる作用のある食べ物や野菜をうまく活用すると、夏の体温調節が可能になります。体温調節が出来ると、自律神経も安定し、夏バテや熱中症の予防に繋がります。
配信: Medical DOC