専業主婦の如月みのり(松本まりか)が、妻に隠れて“もう一つの家庭”を持っていた夫・勇大(竹財輝之助)に復讐する様子を描いた不倫ドラマ『夫の家庭を壊すまで』(テレ東系、月曜よる11時6分~)。本作は赤石真菜氏が原作・脚本、MUGEN FACTORYが作画制作を手がけた同名漫画が原作になっている。
8月にはTVerのドラマ部門のランキングで1位を獲得するなど、注目度を上げている本作。今回ドラマ化した経緯、制作するうえでの苦労など、本作のプロデューサーを務める祖父江里奈氏(テレビ東京)に話を聞いた。
熱量を生む“不倫・復讐コンテンツ”の勢い
まず本作をドラマ化するに至った経緯として、原作の面白さを挙げつつ、「不倫・復讐を扱ったコンテンツの勢いがすごいからです」という。
「不倫は古くからの人気ジャンルです。最近でも『サレ』『シタ』などSNSに不倫関連の言葉が散見され、いずれも大きな反響を集めています。こういった現状が良いか悪いかを判断する立場に私はありませんが、熱量を生むトピックであることは間違いありません。そういった背景からドラマ化するに至りました」
続けて、祖父江氏は「不倫・復讐モノに頼ってしまうと、『不倫ドラマばかり作っているテレビ局』というイメージがついてしまいやすい。なにより、似たり寄ったりな作品が多くなってしまい、結果的にドラマのクオリティを落としかねません」と不倫・復讐モノという“劇薬”に頼りすぎることの危険性も口にする。
また、原作は漫画アプリ「HykeComic」で2023年10月から連載を開始している。連載開始から1年以内でドラマ化というのは少々早すぎな気もするが、「毎クール40本以上のドラマがスタートする今の時代、各テレビ局だけではなく動画配信プラットフォームも、面白い作品を見つけると早い段階でドラマ化に向けたアプローチを始めます。加えて、ドラマ化が決まった時点で原作の第1章は完結した時期ですので、本作のドラマ化が早すぎるということはありません」と語った。
縦スクロールのウェブ漫画が原作だからこその苦労
漫画原作のドラマは珍しくないが、本作は“ウェブトゥーン(スマホで読みやすく作られた縦スクロール漫画)”が原作である。ページをめくって読み進めるタイプの漫画と比較して、ウェブトゥーンを原作にする場合、ドラマ制作において異なる点はあるのだろうか。祖父江氏は「少なくないです」と回答。
「まず、ウェブトゥーンは次々とクリックさせて読ませるコンテンツなので、続きが気になるように刺激的な内容で物語の展開が早いのが特徴です。
登場人物の心理描写が丁寧に描かれた内容よりは、ジェットコースターのような目まぐるしいストーリーが展開される内容のほうが好まれやすい。
とはいえ、ぶっ飛んだ展開は二次元だからこそ成立しており、生身の人間が演じると視聴者の違和感につながります。そこで、原作の面白さを生身の人間が演じても伝わるように、脚本作りをはじめ、制作チームではいろいろな場面でかなりの時間を使い話し合いました」
配信: 女子SPA!