幼い娘を連れ3年間「車中泊」旅をした男性が語る“子どもの勉強を見るより大切なこと”

幼い娘を連れ3年間「車中泊」旅をした男性が語る“子どもの勉強を見るより大切なこと”

 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 2020年、東京都内に住んでいた西川こみあげさん(44歳)家族はキャンピングカーでの車中泊生活をスタート。それから3年間ほど、出発当時2歳だった娘のことちゃんとともに家族3人で日本全国を巡っていました。


 その様子は、YouTubeチャンネル「ビビりの家族が行くキャンピングカー生活」でも多数配信されています。車中泊生活自体も勇気がいることですが、それを子連れで行うのは、なかなかできることではありません。

 旅の発案者である夫のこみあげさんは、前回の記事では当時を振り返り、車中泊での子育てについて、「メリットしかない」と話していました。

 今回はさらに踏み込み、実際の育児で発生するであろう問題について、どう対応したのか教えていただきました。

コロナ禍の旅は「人々の温かさが身に沁みた」


 子どもというのは、どんな健康な子でも体調を崩すことは避けられませんし、健やかな成長を見守るという意味では、定期健診などのケアも必要になります。また、保育園や幼稚園などに通うようになると、地域とのつながりも生まれていきます。

 車中泊生活は定住場所が定まらないわけですが、こうした子育てに紐づくタスクは、どう対応していたのでしょうか。

「3歳児健診は、僕の実家がある北海道に戻ってきたタイミングで受けていました。車中泊生活中の住民票は、北海道に置いたり、長期滞在する場合はその土地に移したりもしました。例えば、鹿児島のトカラ列島に移住していた時期がありますが、その時は子どもを通園させたい関係で、鹿児島に住民票を移していましたね」

 こみあげさんが車中泊生活を行っていた期間は、コロナ禍真っ只中の2020年です。この頃は、県外から来る人への風当たりも強かったと思いますが、車中泊に影響はなかったのでしょうか。

「現地の人々との交流には地域差がありましたが、基本的にはどの土地でもウェルカムな空気を感じました。当時はニュースで大々的に報道され、人と人との距離が難しい時期でしたが、だからこそ受け入れてくれる人々の温かさが身に沁みました。日本という国の素晴らしさを改めて感じました」

車中泊子育てで気をつけたのは“YouTubeの見せすぎ”


 車中泊子育ての最中に気をつけるべきこと。これを事前に考えたとき、筆者が思い浮かんだことはケガでした。自然の中で転んだり虫に刺されたりなど、さぞサバイブした勲章があるだろうと思い質問をぶつけると、こみあげさんからの回答は意外にも「YouTubeを見させすぎないこと」との回答が……そこは普通の家庭と同じなのでしょうか?

「車中泊生活中は、YouTubeやテレビの見すぎには気をつけました。動画の視聴は否定しませんが、僕ら夫婦は、子どもの『リアルな体験』を重要視していたので、なるべく動画視聴しないで済むようにしていました。それでも仕方ないときは、時間を区切ったり、視聴後に『何を見たのか』などコミュニケーションを取ることで、娘のバランスを考えサポートするようにしていました。

キャンピングカーで生活することの最大のデメリットは、天候に日々の生活が大きく左右されることです。天気が悪い日が続くと、電気も作れないのでやることがなくなります。道の駅など施設を利用することもありますが、なかなか近隣で見つからないケースもあります。そういう時には、スマホを渡すこともありますが、見せすぎには本当に気をつけますね。

あとは健康管理には気をつけますが、避けられない部分はあります。ちなみに車中泊中に1人が風邪を引くと、全員もれなくうつります。一時保育に通わせた際に、娘がコロナをもらってきた際は、その後夫婦も感染しましたね」

 こうした経験は、一見すると不自由も多いように感じますが、こみあげさんは「旅をしてると腹がすわる」と語ります。普通の生活とは違う困り事も多いからこそ、一つひとつを対処する中で、より人間的になれるのだと言います。

関連記事: