子どもの乳歯はいずれ抜ける歯ではありますが、虫歯になった場合は治療をしっかり行わなければなりません。子どもも大人も虫歯の根本的な原因は同じであるため、子どもの乳歯が虫歯になった際も大人と同様の虫歯治療を行っていきます。ただし、乳歯は永久歯と比べて歯の表面のエナメル質が薄いことから、虫歯の進行が早くなるので、早期発見と早期治療が重要です。
虫歯は家族から感染する感染症
虫歯の原因となるミュータンス菌は虫歯の原因菌の中でも最も虫歯を作りやすい細菌です。虫歯は細菌感染による感染症であるため、原因となるミュータンス菌は親や兄弟から飲食などを通して伝染します。口の中に入り込んだミュータンス菌は砂糖などをエサにして歯を溶かす酸を作り出すのが特徴です。
乳歯の虫歯治療
初期段階の治療
虫歯になりかけている初期段階で発見できた場合はフッ素塗布を行うことで治療できます。フッ素は溶けた歯にカルシウムやリンなどの成分を吸収しやすくする作用があり、歯の再生を手助けするのが特徴です。さらにエナメル質を強化できるため、虫歯の進行を防ぐ効果があります。
表面のエナメル質までの虫歯治療
もし、進行して虫歯になってしまった歯を治療する場合には、まず虫歯菌に浸食されている部分を削っていきます。表面のエナメル質までの虫歯であれば、麻酔なしでの治療が可能です。この段階の虫歯は、削って空いた穴を光で硬化する歯科用のレジンで埋めるだけで対応でき、治療が完了できれば永久歯に影響はありません。
中層の象牙質までの虫歯治療
中層の象牙質はエナメル質よりも柔らかいので、ここまで虫歯に蝕まれると進行が早くなり、ズキズキとした痛みが出てきます。乳歯はより早く進行しますが、子どもはまだ感覚が成熟していないため、自身で痛みや違和感を訴えることが難しくなります。そのため、大人が子どもの歯の状態を常に確認して、注意をしておきましょう。乳歯では虫歯は黒ではなく白色で現れることが多く、また歯と歯の間にできやすいため、気付けないケースが多いです。そのため、小児歯科で検診を受けて定期的に確認していくのも重要となります。
配信: 医科歯科健診コラム