「赤ちゃんの頭の形」が変形する原因はご存じですか? 放置のリスクや治療法も医師が解説!

「赤ちゃんの頭の形」が変形する原因はご存じですか? 放置のリスクや治療法も医師が解説!

赤ちゃんの頭の形、気になりますよね。今回は、クセによる頭の変形は治療が必要なのか、変形を放置するとどんなリスクがあるのかについて、「さくら脳神経クリニック」の小池先生に解説していただきました。

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監修医師:
小池 和成(さくら脳神経クリニック)

北里大学医学部卒業。その後、国立病院機構東京医療センター、東京都済生会中央病院、東京歯科大学市川総合病院、慶應義塾大学などで経験を積む。2022年、神奈川県横浜市に「さくら脳神経クリニック」を開院。日本脳神経外科学会専門医。日本脳卒中学会、日本頭痛学会の各会員。日本医師会認定産業医、難病指定医。

赤ちゃんの頭の形ってどう決まる?

編集部

赤ちゃんの頭の形は、どのように形成されるのですか?

小池先生

私たちの頭の骨は「頭蓋骨」と呼ばれ、いくつかの別々のパーツが合わさってできています。生まれたばかりの赤ちゃんの頭蓋骨は、これらのパーツが完全にはつながっておらず、脳の表面に隙間を開けて並んでいます。脳や体の成長に伴い、頭の骨も成長していき、1歳~1歳半を目安に骨のパーツの隙間が徐々に骨化し、つながっていくのです。

編集部

頭の形が歪んでしまうこともあるのですか?

小池先生

そうですね。歪みの原因や程度によって、治療が必要なものや、しばらく様子を見ていくものなどに分けられます。

編集部

どのような原因で頭の骨が歪んでしまうのですか?

小池先生

出産前や出産時の要因として、例えば多胎妊娠などでお腹の中のスペースが狭くなって骨盤に押し付けられていた場合や、吸引分娩の際に吸引カップで頭をひっぱったときなどに変形することがあると言われています。ただし、これらが必ずしも頭の変形や歪みに直結するとは言えません。

編集部

病気が原因という場合もあるのですか?

小池先生

そうですね。例えば、骨の隙間が早く塞がってしまう「頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」や、頭の中の水が異常に貯まることによって脳を圧迫する「水頭症」などの病気の場合もあります。気になったら、まずは専門の医療機関を受診しましょう。

赤ちゃんの頭の変形は放置しても問題ない?

編集部

ほかには、どのような原因がありますか?

小池先生

よく言われているのが、生後間もない時期~1歳くらいまでの「向き癖」や「寝癖」です。これは、赤ちゃんが寝ているときや抱っこされているときに、頭がいつも同じ方向を向いていることで一方向だけに力がかかることで起こります。同じ面ばかりが下になると、頭蓋骨の一部分だけに重みがかかり続け、圧力で頭の骨が歪んでしまうのです。

編集部

病気でない場合は、そのまま様子を見ても問題ないですか?

小池先生

赤ちゃんの頭の向きを時々変えるように工夫したり、タミータイム(うつ伏せ遊び)を導入したりすることで、予防・改善が期待できることもあります。専用のクッションの使用など、理学療法的なコントロールが必要なこともあります。出産直後でなにかと忙しい時期ですか、なるべく対策していただきたいですね。

編集部

病気ではない頭の変形や歪みを放置するとどうなるのですか?

小池先生

歪みのパターンや程度にもよりますが、頭の変形や歪みが残ると、見た目のコンプレックスになったり、生活に必要なメガネの装着に調整が必要になったりする可能性もあります。

編集部

見た目だけの問題ではないのですね。

小池先生

はい。さらに、頭の変形や歪みは、頭部以外の骨格ともつながっているため、成長するにつれて顎関節症のリスクや噛み合わせや姿勢などにも影響を与えることがあります。