「乳がんの手術後」に気を付けたい日常生活の注意点とは?【医師監修】

「乳がんの手術後」に気を付けたい日常生活の注意点とは?【医師監修】

乳がんの乳房切除手術後に生じやすい後遺症

乳房切除手術の後に後遺症が出る方がいます。手術後は無理をせずしっかり体を休めて、痛みや腫れが続くときは主治医に相談することが大切です。ここでは乳がん手術後の後遺症を詳しく解説します。

リンパ浮腫

乳がんの手術でリンパ節を切除すると、リンパの流れが悪くなり腕や指が腫れることがあり、これをリンパ浮腫といいます。体重の増加や、リンパ液の流れが悪くなった場所に感染が起こるとリンパ浮腫が起こりやすくなるため注意してください。
手術後は体重管理をして、傷などの感染を避けるようにしましょう。手術後は腕に負担がかからないように、休憩しながら作業するよう意識してください。

乳房切除後疼痛症候群

乳がんの手術後の痛み・違和感・しびれなどは術後数ヵ月で改善するのが一般的です。しかし神経痛のようなキリキリとした痛みや鈍い痛みが数年経っても消えないことがあります。このような慢性的な痛みを乳房切除後疼痛症候群といい、原因は明らかになっていません。
徐々に軽減するケースがほとんどですが、痛みは我慢しすぎず、主治医に相談してください。

乳がんの手術後に行う再発予防のための術後治療

乳がんの治療は手術でがんを取り切ることが基本ですが、再発を予防する目的で手術後に薬物療法(ホルモン療法・化学療法)や放射線療法を行います。
ここでは乳がん手術後の薬物療法と放射線療法を詳しく解説していきます。

ホルモン療法・化学療法

ホルモン療法ではホルモン分泌を抑える薬を使用します。ホルモン療法は女性ホルモンにより増える性質を持つがんに効果があり、代表的な副作用にほてり・性器出血・気分の落ち込み・イライラするなどの症状があるため、投与後は注意しましょう。
また化学療法では、がん細胞が増えるのを抑えたり、がん細胞に対する免疫の働きを助ける薬を使用します。化学療法の副作用は、脱毛・神経障害によるしびれ・吐き気・骨髄抑制によるめまいや怠さが起こることがあるため注意してください。
手術後にがんの性質を調べて、これらの薬を併用する場合もあるでしょう。

放射線治療

放射線療法は部分切除で残った乳房や近くのリンパ節に5週間程かけて放射線を照射して、局所再発を予防します。
主な副作用に、照射部位の皮膚の赤み・かゆみ・ヒリヒリとした痛みを感じることがあります。照射部位を強く擦ったり冷やしすぎたりしないよう注意しましょう。
放射線療法後に咳や微熱が長く続くときは、放射線肺臓炎の可能性があります。症状が続くときは病院で受診し、放射線療法を受けていることを申告してください。

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