「アルコール性認知症」になりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!

「アルコール性認知症」になりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!

アルコール性認知症の主な原因

アルコール性認知症の主な原因は、長期間にわたる過剰なアルコール摂取による脳の損傷や栄養不足と言われています。

脳の萎縮が起こる

長期間の過剰なアルコール摂取は、脳の神経細胞を直接的に損傷します。アルコールは神経毒性を持ち、特に前頭葉と側頭葉に影響を与え、脳自体も萎縮してくるのです。
このようにアルコールは神経にも直接ダメージを与えていきます。

栄養不足にもなる

アルコール依存症の人々はしばしば栄養失調状態になることがあります。
特に有名なのがビタミンB1(チアミン)の欠乏です。アルコールによるチアミン欠乏は、「ウェルニッケ・コルサコフ症候群」として知られる重度の記憶障害を引き起こすことがありますね。

神経伝達物質にも影響がある

脳が萎縮するだけでなく、神経伝達物質にも影響がでてきます。
特にグルタミン酸やGABA(ガンマアミノ酪酸)の機能が低下し、神経間の情報伝達が正常に行われないとも言われていますね。
そのため、神経伝達物質が少なくなると脳活自体が低下し、認知機能や記憶力が低下するのです。

アルコール性認知症になりやすい人の特徴

では、アルコール性認知症になりやすい人の特徴はどんな人なのでしょうか?主に次の方は気を付けるべきであると言えます。

普段のアルコール消費量が多い方

当然ですが、普段からアルコールの消費量が多い方は、脳のダメージも蓄積して、認知症になりやすいことがわかっています。
国立がん研究センターからの報告によると、週75g未満の飲酒量の方の認知症リスクを1とすると、週75〜150g以下の方、つまりちょっとお酒の量が多い人の認知症リスクは1.34倍になります。しかしそれ以上に週450g以上の大量飲酒になる方は認知症リスクは1.96倍にも跳ね上がるのです。
したがって、認知症が心配な方で飲酒が好きな方は、せめて普段の飲酒の量をちょっと減らすことから始めるとよいでしょう。

基礎疾患がある方

2022年の台湾の研究によると、高血圧や糖尿病、慢性腎臓病といった基礎疾患を持っている方の方がそうでない方よりも飲酒による認知機能の影響を受けやすいことがいわれています。
例えば、高血圧のグループでは、多変量ロジスティック回帰の結果、大量飲酒者は少量飲酒者と比較して6.08倍の認知機能障害のリスクと関係があることが言われていますね。
慢性腎臓病や高血圧、糖尿病の方は、動脈硬化や脳の低灌流を引き起こし、脳への酸素供給を低下させて神経損傷につながる可能性があることがいわれています。そのため、アルコールでさらに神経にダメージが加わると容易に認知症につながりやすいというわけです。
したがって、もともと基礎疾患がある方は特にアルコールの消費量に注意が必要ということになります。

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