サナダムシ(条虫症)

サナダムシ(条虫症)

サナダムシ(条虫症)の概要

サナダムシは寄生虫の一種です。
成虫は頭部、頸部、そして体部に分かれており、体はきしめんのように平たい形です。
雌(めす)と雄(おす)の両方の生殖器を持っているため、1匹で卵を作ることができ、感染すると人体内で繁殖する可能性があります。

サナダムシに感染した状態を「条虫症」といいます。
サナダムシが寄生する食べ物を摂取したり、不衛生な水や汚染された手から感染することが多いです。
特に生魚や生肉が感染源となり、裂頭条虫や有鈎条虫などの種類があります。

国立感染症研究所によると、2007年から2017年3月までの11年間で、確定診断された条虫症の症例は114例になります。
さらに、学術誌の症例報告数を加えると439例となり、年間の報告数は平均約40例です。
(出典:国立感染症研究所「わが国における条虫症の発生状況」)

現在はほとんど見られなくなった寄生虫ですが、日本では魚の生食である刺身を食べる文化があるため、全国各地で根強く残っています。

感染すると、腹痛や下痢、体重減少などの症状が現れることもありますが、無症状で何年も過ごす方も多いです。
ただし有鈎条虫に感染すると重篤な疾患を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。

診断は糞便検査や血液検査、画像診断で行い、治療には駆虫薬が用いられます。
予防には生食を避け、衛生管理を徹底することが重要です。

サナダムシ(条虫症)の原因

サナダムシへの感染は、サナダムシが寄生している食べ物を摂取することで発生します。
食品を介さずに、不衛生な水や汚染された手に付着したサナダムシが口に入ることで感染することもあります。

サナダムシは主に魚を食べて感染するグループと肉を食べて感染するグループに分かれます

魚を食べて感染するグループ

魚を食べて感染するのは裂頭条虫と呼ばれており、最も発生頻度が高いのは日本海裂頭条虫です。
感染源となりうる魚には、サクラマス、シロザケ、カラフトマス、ベニザケなどがあります。

条虫
感染源

日本海裂頭条虫
サクラマス、シロザケ、カラフトマス、ベニザケ(北米)

広節裂頭条虫
パーチやカワカマスなどの淡水魚、ニジマス、ギンザケ(南米)

イルカ裂頭条虫
淡水魚であるが不明

太平洋裂頭条虫
淡水魚であるが日本では不明。南米ではスズキたタラの仲間

肉を食べて感染するグループ

肉を食べて感染するのは牛肉では無鉤条虫、豚肉では有鈎条虫と呼ばれています。
日本では、ほぼ輸入品による発症です。

条虫
感染源

無鉤条虫
牛肉

アジア条虫
豚レバー

有鈎条虫
豚肉

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