材料の代用はOK?二人の考え方の違い
このソース、にんにくを入れてもパンチがきいておいしくなると思う。
ちょっとだけ入れてみようか。
リュウジさん、チューブのにんにくはあまり使わないですよね。
そう。チューブにんにくと生にんにくは別物だって思ってる。
私も別物やと思う。生にんにくを使っているレシピに「チューブでもいいですか?」ってよく聞かれるけど…。
生にんにくを前提として作っているレシピと、チューブにんにくを前提として作っているレシピでは違いますよね。生にんにくを前提としてる場合、チューブにんにくでは代用できないんですよ。
わかります。ただ私は、「生にんにくがないから作るのやめよう」ってなるよりは、チューブで代用してでも作ってほしいと思ってしまう。だから、「チューブしかなかったらチューブでもいいですよ」って言うことが多いです。でも、パスタとかもつ鍋とか、にんにくが決め手の料理のときは「どうか生にんにくでお願いします…!」って言います。
ゆりさん、優しいね。俺は「代用できますか?」って言われたら「買え!」って言っちゃうもん。
そこがいいんですよ!観てる人も気持ちいい!(笑)しかもリュウジさんは、その分ちゃんとレシピを紹介してるんで、買っても使い切れるじゃないですか。
私が料理ブログを始めた頃は、「料理家」というと、テレビに出ている有名な、いわゆる料理の先生がほとんどで。そういう方たちにはかなわないから、素人の私は読者さんの質問に答えることだったり代用に答えたりすることで、なんとかやってきたのもあります(笑)。
たしかに、昔はテレビに出ている料理家さんしかいなかったなぁ。その点、ゆりさんはブログから有名になったんですよね。「ネット発の料理研究家」の第一人者かも。
いやいや、私より先に料理ブログで有名になって活躍されてた方はたくさんいるので、ぜんぜん第一人者じゃないですよ。ただ、みなさん元からめちゃめちゃ料理上手なんです。だから、「不器用で料理があまり上手じゃないのに料理本を出した人」というくくりでは、もしかしたら私が初めてかもしれない。
それは、料理ができない人からすると勇気になるよね。
ありがとうございます。でも、リュウジさんは料理ができる人じゃないですか。「料理ができないから簡単なものを作る人」と「料理ができるけどあえて簡単なものを提案する人」では、できることに幅があるなとは思います。
「料理研究家あるある」で盛り上がる
ゆりさんってワンパンパスタのレシピあります?
一応あります。でも、ワンパンパスタって簡単そうで意外と難しいですよね。麺にもよる。1.4mmなのか1.6mmなのかでも変わってくるし…。
そう、パスタの種類によってぜんぜん違うから。
「早ゆでは違うねん!」とか(笑)。
わかる!(笑)早ゆでだとね、レシピ通りにいかないから。
あるあるですよね(笑)。
あるあると言えば、ゆりさんっていつも「レンジ500Wですか?600Wですか?」って聞かれてるよね。
はい。だからSNSの名前を「山本ゆり(syunkon レンジは600W)」にしてるんです。元はフォロワーさんからの提案で、半分冗談だったんですけど、わかりやすいなと思って(笑)。
やっぱり優しい。
料理研究家の本懐はレシピ本
ゆりさんの「syunkonカフェごはん」シリーズって、日本一売れてる料理本シリーズなんだよね。本に関しては、僕はゆりさんを越えられないと思う。たぶん、還暦すぎても届くかどうか。
そんなことない(笑)。でも、逆に言えば私は本だけですから。私自身はそんなに知られてもないし。
でも、料理研究家の本懐はやっぱりレシピ本なのよ。僕も活動の中心はYouTubeだけど、本も細々と出しつづけてる。毎回、レシピ本大賞は本気だからね。
私、レシピ本大賞もらったことないです。
え、本当!?日本一売れてるのに!?
リュウジさん、本を出すペースが早くてびっくりします。
1日3~4レシピ作るんですよ。だから本にしないのももったいないかなと思って。
すごすぎます。リュウジさんって、本のスタイルは出版社にお任せするタイプですか?
任せる部分もあるし、こだわる部分もあるし。ゆりさんの本は、ゆりさんのこだわりが表れてる。かなり「こうしたい」っていうのがある人なんだろうな、って。
こうしたい、はありますね。テーマとか章立てとか、どの章にどのレシピを入れるかとか、どのページにどんな内容を載せるかとかも、まずは私が考えます。
マジで!?
はい。文章も基本的に全部、この本の特徴とか使い方ページも一字一句私が書いてます。
ゆりさん、そこまでやってるのね。さすが。
でも、ライターさんがほんと天才なんです。いないと何もできない。本の進行、間違いの修正、デザイナーさんとの橋渡し…何もかも頼り切ってます。編集さんもデザイナーさんもすごい方しかいなくて、私はむしろ迷惑ばっかりかけてます。ただほんとレシピ本に関しては、思い入れがすごくて。昔からレシピ本が大好きで、レシピ本を作りたくてこの仕事を始めたので…。
それは伝わってくる。本ってやっぱり、こだわってる人が勝つよね。僕も最近だと『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)はかなりこだわって作りました。でも、ゆりさん見習ってもっとがんばらなきゃな。
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後編に続く
配信: アイスム