性交痛の原因はさまざまあります。そのまま放置しているとパートナーとの仲が悪くなる原因になることもあり、できれば早く治療したいもの。そこで、実際どのような治療法があるのか、三島ゆうレディースクリニックの五十嵐先生に教えてもらいました。
監修医師:
五十嵐 優子(三島ゆうレディースクリニック)
平成9年3月順天堂大学医学部卒業。順天堂大学医学部産婦人科学講座入局。順天堂大学医学部産婦人科学講座助教、国際親善総合病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、山王病院、順天堂大学医学部附属浦安病院、順天堂大学医学部附属静岡病院、伊豆赤十字病院などを経て令和4年1月三島ゆうレディースクリニック開院。
性交痛は治せるのか?
編集部
性交痛に悩んでいる女性は多いと聞きますが、治せるのでしょうか?
五十嵐先生
はい、原因にもよりますが婦人科などで治療が可能です。原因に応じた治療を行います。特に、性交痛の原因として多いのが、更年期障害を伴うものです。
編集部
なぜ、更年期障害で性交痛が起きるのですか?
五十嵐先生
そもそも更年期障害は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減少することで起こりますが、膣にも影響を及ぼします。エストロゲンの分泌量が減少すると膣にうるおいがなくなり、乾燥が進むのです。
編集部
なぜ、それによって性交痛が起きるのですか?
五十嵐先生
エストロゲンは肌や粘膜を瑞々しく保つ働きをするホルモンで、膣の粘膜がいつも潤っているのはエストロゲンの作用によるものです。しかし、更年期になり、エストロゲンの分泌量が減少すると膣の粘膜が薄くなったり、乾燥したりするので、痛みを生じやすくなるのです。
更年期障害による性交痛の治療法
編集部
治療法についてもう少し詳しく教えてください。
五十嵐先生
診察ではまず問診し、いつ頃からどのような症状が出現しているのかなどを確認します。その後、膣鏡(主に膣内部や子宮頚部を観察するための医療器具)による診察を行なって、膣粘膜が萎縮していないか、炎症が起きていないかなどを確認します。
編集部
更年期障害により、膣粘膜の萎縮などが見られる場合にはどうするのですか?
五十嵐先生
必要に応じて、エストロゲンを補うホルモン補充療法を行います。たとえば治療薬として用いられるものに、エストリオールという薬剤があります。これは膣に入れる坐薬で、膣に対して局所的に作用して、膣炎などを改善する効果が期待できます。治療には保険が適用になります。
編集部
そのほかにはどのような治療法がありますか?
五十嵐先生
ホルモン補充療法にはさまざまな治療薬があります。性交痛だけでなく、のぼせ、ほてり、ホットフラッシュなど、更年期障害によるほかの症状が見られる場合には、飲み薬、貼り薬、塗り薬などの薬剤を使用することもあります。
編集部
ホルモン補充療法のほかにはどのような治療法がありますか?
五十嵐先生
市販品の潤滑ゼリーやローションなどを使うのも良いと思います。その際には、パートナーに協力してもらうことも大切です。
編集部
症状に応じて、治療法を選択するのですね。
五十嵐先生
はい、それから膣粘膜の萎縮が見られる場合には自費診療になりますが、炭酸ガスレーザーを照射して膣内をふっくらさせる治療もあります。これはいわゆるアンチエイジングの一種で、一部の医療機関で行われています。ご本人の痛みが解消されるだけでなく、パートナーの満足度が上がるという感想もよく聞かれております。
配信: Medical DOC