最近、巷で話題になっている腸活、腸のことを思って始めたはずが、実は逆に不調にさせてしまうこともあるとか・・。
この機会に腸活の正しい知識をインプットしたいですよね。
今回は、ヨーグルトと食物繊維について、まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 院長の船越真木子先生にお話を伺いました。
毎日食べている人も多いのでは?ヨーグルトの効果
ヨーグルトには、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌(プロバイオティクス)が豊富に含まれています。
善玉菌は腸内に到達して働き、腸内環境を良好に保つ効果があります。
また、カルシウムやタンパク質といった栄養素も豊富で、健康維持に役立ちます。
ヨーグルトを毎日継続して摂取することで、腸内フローラのバランスを安定させ、腸活に貢献します。
実は合わない人も?!ヨーグルトをやめてみるのも重要です
ヨーグルトは乳製品であり、消化しにくいタンパク質であるカゼインを多く含みます。
カゼインが十分消化されないまま小腸に流れ込むと、腸の粘膜を傷付け、いわゆるリーキーガット症候群を引き起こすといわれています。
このリーキーガット症候群では腸管のバリア機能が崩壊しているため、腸の中の有毒物質が体の中に取り込まれ、腹痛や腹部膨満感、アレルギー症状、下痢や便秘、頭痛などが起きます。
ヨーグルトを食べていて、「体調が良い」「お腹の調子が良くなった」と感じられている方は、そのまま続けていただいて問題ありません。
ただ、効果を感じられなかったり、不調を感じたりされている方は、体に良いと信じ込まずに、ひと月ほどヨーグルトを含む乳製品をやめてみるのも、自分の体調を知るひとつの方法です。
現代人が不足しがちな栄養素、食物繊維
野菜や海藻、穀類などに含まれる食物繊維。
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。
水溶性食物繊維は腸内でゲル状になり、便を柔らかくして排便をスムーズにします。
不溶性食物繊維は、腸内で便のかさを増し、腸の蠕動運動を促進します。
そのため、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を摂取することで、便秘の改善や腸内の老廃物の排出が促されます。
また、食物繊維は善玉菌のエサ(プレバイオティクス)としても働き、善玉菌の増殖をサポートします。
食物繊維はとにかくたっぷり・・・がいいとは限らない?!
実は、2種類ある食物繊維のうち、不溶性の食物繊維をとりすぎると便秘が悪化することがあります。
また、食物繊維は腸内で発酵し、ガスを発生するため、お腹の張りが悪化することがあります。
消化力が落ちている方はとくに、食物繊維の取りすぎに注意してください。
以上のように、常識はまず疑うことが必要です。
外来で『私に合う食べ物を教えてください。』『豆乳はどれくらい飲んでもいいですか?』などと質問されることがありますが、担当医であっても、その答えは簡単には分かりません。
ご自分の体調は『常識』にとらわれず、食べたものに対する体の反応をご自身で自分で感じながら把握していってくださいね。
誰かには良くても、自分には良いとは限らない。
自分には良くても、誰にでも良いとは限らない。
腸の特性も、腸にすんでいる細菌も、人によって異なります。
自分に合った腸活を見つけることが大切なのです。
[執筆者]
船越真木子(ふなこし・まきこ)先生
まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック院長
略歴
2005年神戸大学医学部卒。
その後、基幹病院や京都大学医学部附属病院の勤務を経て、2021年に「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)を開院。
がん死の第一位である大腸がん、第二位である胃がんを早期発見するため、苦痛の少ない高精度な内視鏡検査を提供している。
ミッションは『人生を最高に楽しめる体と心を支える』。
総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医。
まきこ胃と大腸の消化器内視鏡クリニック
配信: キレイ研究室
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