子どもの「胃腸炎」はどれくらいで治るかご存じですか? 対処法・脱水症状のサインも医師が解説!

子どもの「胃腸炎」はどれくらいで治るかご存じですか? 対処法・脱水症状のサインも医師が解説!

嘔吐や下痢などの症状が続く胃腸炎は、子どもの疾患の中では珍しくないものですが、体が小さな子どもの場合は脱水症状のリスクもあります。今回は、子どもが脱水症状を引き起こした際、どのように看病すればいいのかについて「きむらクリニック ファミリー棟」の木村先生に教えていただきました。

≫【イラスト解説】「脱水症」になると現れる“6つの症状”

監修医師:
木村 将裕(きむらクリニック ファミリー棟)

岩手医科大学医学部卒業。その後、東京医科大学病院小児科・思春期科、荻窪病院小児科などに勤務。2024年、東京都江戸川区に「きむらクリニック ファミリー棟」を開院。日本小児科学会専門医、日本小児感染症学会認定医。

子どもの胃腸炎には脱水症状のリスクがある

編集部

「子どもの胃腸炎は、脱水を起こすリスクが高い」と聞きました。

木村先生

そうですね。子どもが胃腸炎を発症すると、下痢や嘔吐などの症状が続きます。すると、体内から水分が奪われ、脱水が起きることもあるのです。

編集部

なぜ、子どもに脱水が起きるのですか?

木村先生

大人と比べて子どもは、体内でたくさんの水分を必要とするためです。また、子どものうちは体内の水分量を調節する機能も未発達なため、脱水症状を引き起こすやすくなります。

編集部

脱水が起きると、どのような症状がみられますか?

木村先生

例えば、以下の症状がみられることがあります。このような場合には、できるだけ早く小児科を受診しましょう。

熱があるのに汗をかいていない

唇や皮膚がカサカサしている

尿が出ない、あるいは尿量が極端に少ない

目がくぼんでいる

泣いても涙が出ていない

機嫌が悪い、元気がない

食欲がない

フラフラしている

呼びかけても反応が悪い

脱水を起こさないために気をつけること

編集部

脱水を起こさないために、気をつけなければいけないことは何ですか?

木村先生

胃腸炎などが原因となって嘔吐と下痢を繰り返している場合には、経口補水液を摂取させるようにしましょう。経口補水液には、塩などの電解質や糖分がバランスよく含まれています。

編集部

経口補水液がない場合は、どうしたらいいでしょうか?

木村先生

塩分を含んでいない炭酸飲料、果実ジュースなどを避けて、塩分を含んだ重湯、おかゆ、野菜スープ、チキンスープなどで代替してもいいでしょう。

編集部

どのタイミングで与えればいいですか?

木村先生

嘔吐した直後はすぐに水分を与えず、1〜2時間くらい経過したら少量ずつゆっくり与えるようにしてください。はじめはスプーン1杯程度、またはペットボトルのキャップ1杯分程度から与え始め、5〜10分の間隔で飲ませ続けましょう。

編集部

どれくらいの量を飲ませればいいのでしょうか?

木村先生

一般に、体重1kgあたり50〜75mlを飲ませるのがいいとされています。ただし、一気に飲むと再び嘔吐してしまい、ますます体内から電解質が奪われてしまうので、少量ずつ与えるようにしましょう。約4時間かけて、飲み終えるのが目安とされています。

編集部

そのほか、気をつけるべきことはありますか?

木村先生

嘔吐せず水分をとれるようになったら、無理をしない範囲でうどんやパン、お米などの糖質を与えます。糖質を取ることでだるさが抜け、体力の回復が早くなります。

編集部

普段、母乳を与えている赤ちゃんの場合はどうしたらいいでしょうか?

木村先生

嘔吐せず水分を摂取できるようになったら、母乳を与えるようにしましょう。