心筋梗塞を発症すると体のどこに痛みを感じる?
主な部位は胸部ですが、他の身体部位にも広がることがあります。以下に、主要な部位をまとめます。
胸部
最も典型的な部位で左側に起きることが多いです。痛みばかりではなく、胸が締めつけられるような感じ、重石が乗っかっているような感じ、焼けるような感じ、など人さまざまです。一般的に、20分以上続きます。安静や労作に関係なく起こります。また、狭心症の発作を改善する薬である、ニトログリセリンを使用しても改善しません。緊急性が高く、早期の治療が必要な場合が多いため、できるだけ早期に内科や循環器科を受診して下さい。
左腕と左肩
胸部の症状と共に、左腕に痺れや痛みを感じたり、 左肩に痛みや重だるさを感じたりすることがあります。放散痛といいます。筋肉痛や関節痛と誤解されることがたびたびあります。継続する場合には、他の疾患との鑑別が必要です。内科、循環器科、整形外科を受診して下さい。
顎
胸部の症状と共に、 顎の痛みを感じることがあります。放散痛といいます。歯の痛みや顎関節症と誤解されることがあります。継続する場合には、鑑別診断を必要としますので、内科や循環器科を受診して下さい。
背中
背中の上部に痛みを感じることがあります。これも放散痛の1つです。背中の筋肉痛や脊椎の疾患と誤解されることがあります。継続する場合は、鑑別診断が必要です。内科、循環器科、整形外科を受診して下さい。
胃部
胃痛や胃部不快感が起こることがあります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。これも、放散痛の1つです。食道、胃、十二指腸などの消化器疾患と誤解されることがしばしばあります。継続する場合は、鑑別診断を要しますので、内科、消化器科、循環器科を受診して下さい。
心筋梗塞の主な原因
心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈の閉塞で心筋梗塞は起こります。冠動脈を閉塞させる原因(危険因子)は、高血圧、高脂血症、糖尿病が代表的です。以下に各々の要点を説明します。
脂質異常症
脂質異常症は、血中のLDL-コレステロールや中性脂肪が高い状態です。LDL-コレステロールが高いと、余分なLDL-コレステロールが血管の内壁に溜まり、血管内に瘤のようなものを形成します。これを、プラークといいます。プラークは血管内腔を狭め、さらに、破れて血栓を形成することで冠動脈を閉塞させ心筋梗塞を起こします。一方で、HDL-コレステロールはプラークの形成を抑制します。したがって、HDL-コレステロールが低い状態も心筋梗塞の原因となります。これらの異常は動脈硬化の進展を早めますので、血液検査で異常が見つかった場合は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。
高血圧
血圧が高い状態が続くと、冠動脈の壁に負担がかかるため、動脈硬化が進みやすくなり、血管を狭くします。加えて、プラークの形成を助長します。心筋梗塞以外の血管疾患の原因ともなります。健診などで異常が見つかった際は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。特に、高血圧の初期はほぼ無症状です。そのため、知らず知らずのうちに血管を傷める状態が継続してしまうので要注意です。
糖尿病
高血糖が続くと、動脈の内側にある血管内皮細胞にダメージを与えます。そのため、血管のしなやかさが低下して、血管内壁が傷つき、動脈硬化の進展を助長します。初期の糖尿病は自覚症状を伴うことは少ないので気づかないことが多いです。健診などで高血糖を指摘された場合は、自覚症状の有無に関わらず、内科を受診して適切な指示をもらうことが重要です。
配信: Medical DOC