家電やパソコンに影響する雷サージとは?被害と対策を詳しく解説


写真:PIXTA

「雷の影響で家電やパソコンが故障する」という話を聞いたことがあるでしょうか。落雷による電気機器・電子機器の故障は、建物に直接の落雷がなくても起こります。原因となる雷サージの仕組みと、家庭でできる対策をご紹介します。

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 雷サージとは?

「サージ」とは電気機器・電子機器の電圧が意図せずに上昇する現象を指します。サージは雷の電流や、電子回路のスイッチをオン・オフする際に生じる高電圧、静電気の放電などによって起こり、電気機器や電子機器の正常な動作を妨げる原因となります。

雷は、雲の中で生じたプラスとマイナスの電荷による放電現象です。雷雲の下にも対極の電荷が集まって、雲と地上の間で放電が起こるのが落雷です。

雷によって発生する高電圧の電流を「雷サージ(らいサージ、かみなりサージ)」といいます。一般家庭の電圧は100V(エアコン用など一部のコンセントは200V)なのに対し、手指にパチッと痛みを感じる程度の静電気の電圧は数千V、雷の電圧は1億Vにも達し、その勢いの強さが分かります。

雷が発生する頻度は、その年の気象条件により異なるものの、地球温暖化の影響により、近年増加傾向にあると言われています。また、繊細な集積回路を搭載した機器や、ネットワークを利用するIoT家電は雷サージの影響を受けやすく、雷サージは私たちの暮らしにより身近な問題となっています。

雷サージの発生要因

雷サージが発生する仕組みは落雷の状況などにより異なり、大きく分けて「直撃雷」「誘導雷」「逆流雷」の3種類があります。

・直撃雷

直撃雷とは落雷の直撃を受けることです。人体に直撃した場合には約80%が亡くなり、建物を直撃した場合には屋根や外壁が壊れたり、火災が発生したりする危険があります。雷サージの威力も非常に強く、分電盤やコンセントの内部、電気製品の基板などが焼け焦げる被害が報告されています。

・誘導雷

雷サージの影響は、落雷が直撃した建物だけに留まりません。雷が落ちた付近に強い電磁界が発生し、近くの電線や通信線に雷サージが流れるのが誘導雷です。家の中の配線を通って、コンセントなどから電気製品に影響を及ぼすことがあります。

誘導雷の威力は直撃雷ほど強くありませんが、雷が落ちた場所から2km範囲内に影響をおよぼす可能性があると言われています。

また雷雲の下で電線や通信線が静電気を帯びて、近くに落雷がなくても誘導雷が発生することがあります。雲の中や雲と雲の間で雷が放電したときに、静電気も放電し、電線や通信線に雷サージが流れます。

・逆流雷

樹木や建物に雷が落ちると、電流は大地へと流れます。落雷によって一時的・局所的に大地の電位が高まると雷サージが発生し、地中に埋まっている電線や通信線、金属管などを伝って建物へと逆流することがあります。

雷サージによる被害のほとんどは侵入経路が不明です。直撃雷ではなく誘導雷や逆流雷として建物に侵入し、電気製品に被害をもたらしていると考えられています。

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