雷サージの対策方法
雷は高い所に落ちやすく、落雷対策として高さ20mを超える建物や危険物を扱う工場などには、避雷針を設置することが建築基準法ならびに消防法で定められています。避雷針は雷の直撃から建物を守り、電流を安全に地中へと流します。
さらに、電気機器を雷サージから守るために用いられているのが、「サージ保護デバイス(SPD)」です。高電圧の電流が流れたときには、電子機器ではなくSPDを通して接地に電流を流すしくみで、「避雷器」とも呼ばれ、電柱、高層ビル、公共施設などへの設置が進んでいます。
これらの対策を行っても、雷による被害を無くすことは難しいのが現状です。
ここからは電気製品を守るために、家庭で取り組める雷サージ対策を紹介します。
機器の電源を切ってケーブルを外す
もっとも基本的な雷サージの対策は、雷が発生しているときは機器の電源を落とし、電源ケーブルをコンセントから抜いて、電気が流れないようにすることです。電話線やLANケーブルも雷サージを通すので、モジュラージャックからはずしておきましょう。
ただし、雷が鳴っているときにコンセントなどに触れると感電の危険があるため、十分に注意してください。あらかじめ天気予報や雷注意報をチェックして、早めの対応を心がけるとよいでしょう。気象庁の「ナウキャスト」では、1時間先までの雨雲の動きと、雷の活動度などを確認できます。
雷サージ保護機能付きの電源タップを利用する
電線からの誘導雷・逆流雷を防ぐために、コンセントに挿して使うタイプの雷サージ保護機能付き電源タップを利用する方法もあります。数百円~数千円と手頃な価格帯の製品が多く、自分で簡単に設置できるのが魅力です。
こうした製品の多くには雷サージの吸収素子が使用されています。強い雷サージを受けると効果が衰えていくため、寿命を迎えているかどうかが見分けられるように、雷サージの保護機能が働いているときにはランプなどで知らせてくれる製品もあります。
引用:エレコム「電源タップ 雷ガード 」
引用:パナソニック「かみなりブロックタップ」
引用:Micshion 「USB電源タップ(110-240V)雷ガード 過負荷保護 」
分電盤に避雷器を設置する
住宅の分電盤に避雷器を設置する方法もあります。分電盤の工事は業者に依頼する必要がありますが、電源タップでは対策のできない電気給湯器、床暖房、インターフォン、電子錠なども含めて、住宅の電気設備全体を雷サージから保護することができます。新築やリフォームの際には、避雷器付きの分電盤を選ぶのも一案です。
引用:パナソニック「住宅分電盤 地震かみなりあんしんばん」
しかし、さまざまな物がネットワークに接続しているIoT社会では、雷サージの侵入経路も複雑化しています。対策をしていても、必ずしも雷サージから電気機器を守れるとは限りません。
停電したら電源プラグを抜く
落雷により停電が発生した場合は機器の電源プラグを抜くことが推奨されています。これは、停電から復旧した際に高い電流が一度に流れることで、電気製品が故障したり、住宅のブレーカーが落ちたりするのを予防するためです。
故障かもと思ったら放電を行う
雷のあとでテレビやパソコンがつかないなどの不具合が起きたときは、一度電源プラグをコンセントから抜いて、数分間放電をしてから接続し直してください。
インターネットに接続できない場合には、ルーターやモデムの線を抜き、数分間放電をしてから再接続してみましょう。パソコンの再起動も試してみてください。
それでも回復しない場合は、メーカーの修理窓口などに相談しましょう。なお、雷サージによる電気製品の故障は、火災のリスクがあるとみなされ、火災保険で補償されることがあります。
配信: 防災ニッポン