最近「疲れやすい」…どんな原因が考えられる?医師が男女別に徹底解説!

最近「疲れやすい」…どんな原因が考えられる?医師が男女別に徹底解説!

疲れやすい時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「疲れやすい」症状で考えられる病気と対処法

疲れやすいと一口にいっても、原因はさまざまです。疲れが取れない日々が続くと、仕事や学校に影響が出たり、精神的にも身体的にも負担がかかってしまったりすることでしょう。ここでは、疲れやすい症状で考えられる原因や対処法について紹介します。

女性で疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

女性で疲れやすいと感じるときは、妊娠や更年期、生理前の可能性があります。妊娠初期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が盛んになり、眠気が増してさらに代謝が活発になりやすい時期です。どうしても、体力がないと感じやすくなります。更年期では、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が大きくゆらぎながら減少していくことにより、体のだるさや疲れやすさが出やすいといわれています。生理前に起こるPMS(月経前症候群)によって疲れやすいと感じる方も少なくありません。しかし、中には卵巣腫瘍ができており、体ががん細胞と戦うことで体力を消耗しているケースもあります。PMSが原因の場合は低用量ピルや漢方薬などが有効です。症状が気になるときは、婦人科を受診しましょう。下腹部のしこりや腹痛がある場合は卵巣腫瘍の可能性もあるので、早めに婦人科を受診してください。
妊婦さんの場合は、妊娠週数を重ねることで次第に疲れやすさが改善されていくでしょう。一方、更年期の方は治療を行うことで症状が改善されることがあります。いずれの場合にもつらい症状が持続するようであれば、産婦人科で相談をするとよいでしょう。

男性で疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

男性で疲れやすい方は、男性更年期障害の可能性があります。加齢性腺機能低下症やLOH症候群とも呼ばれており、疲れやすさや不眠、集中力の低下などが見られる病気です。男性ホルモンの一つであるテストステロンが減少することで発症すると考えられています。ストレスや睡眠不足などが症状を悪化させる原因となるため、こまめにストレスを発散して質の良い睡眠をとることが大切です。緊急性はありませんが、症状が気になるときは泌尿器科や内科、心療内科などを受診しましょう。

生まれつき疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

子供の頃から疲れやすい方は、1型糖尿病の可能性があるかもしれません。1型糖尿病とは、本来なら細菌やウイルスを攻撃するはずの免疫が自分自身のβ細胞を破壊することで発症するものです。発症年齢のピークは10歳から15歳といわれています。生活習慣病と呼ばれている2型糖尿病とは異なり、自分でできる処置はありません。疲れやすい、口が渇く、体重が減るなどの症状が代表的です。1型糖尿病を放置しておくと網膜症や腎症、神経障害などの合併症を起こしやすくなるため、早めに内科や糖尿病内分泌科などを受診しましょう。また、非常に稀ですが小児でも発症する重症筋無力症という自己免疫疾患もあります。自己抗体ができることで筋肉が十分に収縮せず筋力が低下し、疲れやすくなります。日内変動があり、夕方に症状が出やすいなど疲れの出方が変動したり、まぶたが下がってくる、焦点が合いにくくなる、筋力が弱くなるなどの症状が出るようであれば小児科を受診して相談しましょう。

体力がなく、疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

体力がなく疲れやすい場合は、甲状腺機能異常の可能性があります。甲状腺機能亢進症では、新陳代謝が異常に活発になることから暑がりで疲れやすくなることが特徴です。甲状腺機能低下症では、逆に寒がりになって疲れやすくなります。甲状腺機能亢進症はバセドウ病や甲状腺炎、甲状腺機能低下症は橋本病や脳外科手術などが主な原因です。症状が続く場合には、早めに内分泌科や耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

疲れやすい体質で考えられる原因と対処法

疲れやすい体質の場合、低血圧や慢性疲労症候群などが考えられます。低血圧とは、収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下のものです。原則として低血圧は治療の必要がないといわれていますが、人によっては疲れやすいなどの症状が気になることがあります。慢性疲労症候群は、常に体がだるく疲労感があり、寝ても疲れが取れないなどの症状が見られる病気です。はっきりとした原因は分かっていません。低血圧が気になるときはバランスの良い食事を摂ったり水分を十分に補給したりしましょう。緊急性はありませんが、気になるときは循環器内科で相談してみてください。慢性疲労症候群は治療法が確立されていないものの、内科などを受診することで治療を受けることができます。

栄養不足で疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

栄養不足で疲れやすい場合は、体がエネルギー不足になっている可能性があります。私たちの体は、十分な栄養を摂取しなければ体を動かすためのエネルギーを作り出すことができません。栄養不足が考えられる場合は、バランスの良い食事を摂りビタミンB1やビタミンB2などを積極的に摂取するようにしてみてください。サプリを活用しても構いません。食事が摂れない状態が続く場合は、病気が隠れている可能性もあります。緊急性はありませんが、疲れやすい状態が続く原因となるため、早めに内科や消化器内科などを受診しましょう。食事が摂れない原因が精神的な理由の場合は、精神科や心療内科をおすすめします。

睡眠不足で疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

睡眠不足で疲れやすい場合は、うつ病などの病気が隠れているかもしれません。睡眠時間が短い状態が続くと、うつ病のリスクが上がることが分かっています。また、うつ病の症状の一つとして睡眠障害が出ることも珍しくありません。単に睡眠不足が続いているだけの場合は、体内時計を整えるために朝おきたら日光を浴び、夜になったら強い光を浴びないようにしましょう。うつ病が原因の場合はストレスから離れて体をゆっくり休めることが大切です。緊急性はないものの放置しておいてもなかなか治りづらいため、早めに精神科や心療内科、内科などを受診するようにしてください。
また、睡眠時無呼吸症候群でも睡眠中に息が止まることで熟睡できず、疲れやすくなることもあります。いびきが止まるなどの症状があれば、内科や耳鼻科など睡眠時無呼吸症候群の検査ができる医療機関を受診して相談しましょう。

運動不足で疲れやすい症状で考えられる原因と対処法

疲れやすい原因が運動不足からきていることもあります。何か病気があるわけではありませんが、定期的に体を動かさないと血行が悪くなって新陳代謝が低下し、疲れが溜まりやすくなってしまうのです。運動不足だと感じるときは、あえて体を動かすようにしてみてください。そうすることで疲労物質が体に溜まりにくくなり疲れやすさを改善できる可能性があります。病院に行く必要はありませんが、運動不足だと感じている方はストレッチや軽い有酸素運動などから始めてみましょう。適度な運動を行っても疲れが取れない場合は、ほかの原因がある可能性があるため内科で検査してもらうのをおすすめします。

すぐに病院へ行くべき「疲れやすい」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

高熱の症状もある場合は、内科へ

疲れやすいだけでしたら緊急性がないこともありますが、高熱の症状も出ているときは早めに内科を受診しましょう。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症など、何らかの感染症に罹患していることがあります。これ以外にも感染症で高熱と疲れやすさの両方が出ることもあるため、高熱が続くときは内科の受診を検討してみてください。

受診・予防の目安となる「疲れやすい」ときのセルフチェック法

・疲れやすい以外に発熱がある場合

・疲れやすい以外にめまいがある場合

・疲れやすい以外に眠気がある場合

・疲れやすい以外に口渇、多尿がある場合

・疲れやすい以外に体重減少がある場合