【伝説の頭 翔】高橋文哉ら演技達者な若手役者が大挙するおもしろいドラマなのに話題にならない不思議

 どうして「伝説の頭 翔」(テレビ朝日系)はあまり話題にならないのだろうか。

 主演の高橋文哉は、1000人を超えるヤンキーたちが集う「グランドクロス」を束ねる伝説の頭(ヘッド)・伊集院翔と、ご当地アイドルグループ「古くさい街角のスケ番ズ」の「彩姐(あやねえ)」の熱心なファンである、いじめが原因で不登校になっている存在感のない山田達人を驚くほど巧みに演じ分けている。

 高橋が演じ分けている翔と達人が向き合って話し合うシーンも多々あるが、まったく違和感がないCG合成も素晴らしく、役者・高橋の演技力の高さにも驚かされるばかりだ。

 高橋は馬車馬のように、ドラマや映画に連続出演していることから体調を心配されることも多かったが、スパルタ式に現場で演技力を叩き込まれてきたのだろう。このドラマで翔と達人を演じ分けている高橋を見ていると、もう「若手役者」の「若手」が必要のない、立派な「役者」になっている。

 さらにヤンキーたちを演じるメインどころは、旧ジャニーズ事務所が強大なパワーを発揮していた時代に仮面ライダーや戦隊ヒーローとして活躍してきた演技達者たちが多く、まさに演技の火花を散らしているのだ。

 そのうえ、「JO1」リードボーカル金城碧海、YOSHIKIがプロデューサーを務めるオーディションで見出された「XY」ボーカルで東京・新宿でホストをしていた頃の源氏名をそのまま芸名にしているKARMA(カルマ)が、それぞれいい味を出している。

 飯島直子が「レディース紅」の初代総長で翔の「祖母(!)」を演じていたり、「古くさい街角のスケ番ズ」では関水渚や森香澄が長いスカートをはいて濃いめのリップで昭和のスケ番ルックを再現していたりと、話題になる要素は満載なはずなのに、いまいち盛り上がりに欠けたまま9月6日に最終回を迎えるのはおかしいだろう。せめて最終回だけでも大バズリして有終の美を飾ってほしい。

(森山いま)

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