朝ドラ『虎に翼』で日本でのドラマ初出演となったハ・ヨンスさん。当時日本では珍しかった異国の人という役を見事に演じきった彼女に、撮影の裏側や今後の展望、さらにはプライベートなどをインタビューしました。
まねでも、そのうち、ほんものになる
—MBTIを教えてください。それを知って自分ではどう思いましたか?
「とても内向的で、一人でいる時間が好きな『INTPです』です。当たってると思います」
—人生のターニングポイントを教えてください。
「まず俳優の仕事を始めた22歳。人生がガラッと変わりました。そして日本に来たタイミングは、次のターニングポイントでした。それまでやってきた俳優業をベースに、新しい場所で挑戦しています」
—ポリシーや座右の銘など、大切にしている言葉はありますか?
「『まねでも、そのうち、ほんものになる』です。日本語も、演技もそうやって取り組んでいます」
『香淑は実はこういう人なんだ』という二面性をしっかり表現するように気をつけました
—日本でのドラマ初出演が朝ドラ『虎に翼』。一番緊張したことは何ですか?
「現場で感情の表現がちゃんとできるのか、気になってしまい、演技をする際にとても緊張しました。日本語がまだ不十分なので、日本語ばかり意識してしまい、表現力が下がってしまっていると感じたことがあって、悩みました。でも多くの視聴者さんが香淑のことを好きになってくださっているようで、嬉しかったです」
—全130話から、すでに115話ほどで物語も後半戦に突入していますが、クランクイン時と比較して心境の変化はありますか?
「もうすぐ終わると思うと、とても寂しいです……。日本での最初の作品だったので、特別な気分ですね。クランクインのときはドキドキが強かったのですが、今ではNHKのスタジオも俳優の皆さんもスタッフの皆さんもとても懐かしい気持ちです。スタッフ、俳優の皆さん、みんなに会いたいですね」
—撮影の裏側は?日本と韓国のドラマの撮影現場の違いは何ですか?
「待ち時間が長くなると、みんなおしゃべりに花が咲きますね。お菓子を食べたり、日常的な話をしたり。そういう点では日本と韓国の現場に大きな違いはないですね」
—印象に残っているセリフやシーンなどはありますか?
「明律大学女子部の新入生募集中止という話を聞きつけて『先生方、お待ちください!あと一年だけ待ってください!』と土下座しながらお願いしたシーンが一番心に残っています。当時日本では珍しかった異国の人という立場もあり、少し自分を内側に押し込めて、遠慮がちだった香淑ですが、実は心の中に芯のある思いを持っていたことがわかるシーンだと思います。また演技も難しくて、『二重人格なの?』という違和感を与えてはダメで、『香淑は実はこういう人なんだ』という二面性をしっかり表現するように気をつけました」
—日本語は独学だそうですが、特に苦労したことはありますか?
「小さい“っ”の発音が難しかったです。これだけは韓国語では存在しないので。個人的に日本語は、発音よりもイントネーションが難しいと思います。友だちに聞いてみても、方言によってイントネーションが変わったりして。一体何が正解なんだ?となりました。毎日が勉強ですね」
—日本で俳優業を始めたきっかけは?
「20代のころから日本の映画に出演してみたいと思っていたのですが、そのときは韓国での経験も不足していたし、すぐには来られなかったんです。30代になったとき、“今じゃないとチャンスがない”と思い、思い切って挑戦することにしました」
たとえ結果が満足のいくものでなくても、挑戦することを止めないようにしたい
—美術や写真で好きなアーティストは?
「美術だったら、イギリスの画家デイヴィッド・ホックニーや、スコットランドの現代アーティスト、ピーター・ドイグ。写真家だったら、映画も撮っている(ハーモニー・コリン脚本の『KIDS/キッズ』など)のラリー・クラーク、ドイツのフォトグラファー、ヴォルフガング・ティルマンスです」
—otona MUSEのメインターゲットは30代半ば。仕事のキャリアもプライベートも充実している人が多いです。その年齢は女性にとって、これからの人生を考える転機になるタイミングだと思いますが、ハ・ヨンスさんはどんな30代になりたいと思っていますか?
「仕事が生きがいなので、できる仕事の幅をもっと広げていきたいと思っています。たとえ結果が満足のいくものでなくても、挑戦することを止めないようにしたいですね。演技の幅を広げるのはもちろん、絵や写真も続けていきたいです。また展覧会も数年後にはやりたいですね。あと、私のまわりにいる人たちがとても大切なので、一緒に旅行にも行きたいですし……。そうやって健康で自然な30代を過ごしたいと思っています」
自宅にこもって、1人の時間を過ごすのが好き(笑)
—日本の漫画やドラマが好きと聞きましたが、好きな作品やアーティストがあれば教えてください。
「漫画だったら『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦)、『PLUTO』(浦沢直樹)、『ゲゲゲの鬼太郎』(水木しげる)が好きです。日本語の勉強にも大いに役立ちました」
—休みの日は何をするのが好きですか?
「絶対にベッドの上でNetflix!(笑)。あと、睡眠。INTPなので自宅に籠って、1人の時間を過ごすのが好き(笑)」
スキンケアは韓国、色が大事なメイクアップは日本のものです
—スキンケア、ヘアケアのオススメを教えてください。
「1日1回はシートマスクを使うこと。冬場は化粧水の段階で必ずオイルを混ぜるのをおすすめします。あと、毛穴が大きくならないようにするために、顔の温度が上がらないように気をつけているんです。顔はなるべく冷たい温度を保つのがいいと思いますよ。髪はたまに美容院でトリートメントをしている程度なんです。家で使っているのはアヴェダです」
—韓国の化粧品と日本の化粧品のどちらをよく使いますか?
「スキンケアは韓国、色が大事なメイクアップは日本のものですね」
—スタイル維持の秘訣は?
「韓国にいたころは運動をしていましたが、最近はしていません。もうすぐ再開しようと思っています。ケーキ、みたらし団子、フルーツサンデーなどなど。甘いものも大好きなのですが、太らないよう我慢しています(笑)」
—食生活で気をつけていることは?
「辛過ぎるもの、塩辛いものは食べません。最近はパンやごはんを食べる量を減らすようにしています。炭水化物を減らすと肌がキレイになると聞いたのでできることから始めていますが……麺類が好きなので完全には難しいですね」
—プライベートではどんなテイストのファッションが好きですか?
「いろいろなジャンルを試してます。アメリカやヨーロッパのブランドも探して着てみたり。最近だとタッチクロージングやNYのブランド、BODEとか。また、シンプルなデザインだったら、色でポイントをつけるようにしていたんですが、最近はオールホワイトやオールブラックでコーデすることも増えました。韓国で好きなブランドは友だちのブランドかな。よく購入するのはTANNAT 타낫、minitmute! OjosやNANCYBOOにも注目しています。日本で好きなブランドだったらCLANEですね」
starring: HA YEONSOO direction & styling by MIKA NAGASAWA
hair by KOICHI NISHIMURA at VOW-VOW make-up by KIE KIYOHARA at beauty direction interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
配信: オトナミューズウェブ
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