●本当に「夫は独身」と思っていた相手には慰謝料請求できず…
──相談者は、慰謝料を夫の浮気相手に請求することができるのでしょうか。
相談者は、夫だけではなく、夫の浮気相手に対しても慰謝料を請求することができます。不貞行為とは肉体関係のことを指しますので、1人で行うことはできず、2人の連帯責任と考えられているためです。
もっとも、浮気相手が夫の婚姻関係を知らなかった、つまり夫が独身であると考えていた場合には、浮気相手に対する慰謝料請求は認められない点は注意が必要です。
夫が「自分は独身である」という虚偽の内容を浮気相手に伝えており、浮気相手がこれを信じていた場合も同様です。
慰謝料を請求するためには、民法上の不法行為に該当する必要がありますが、不法行為といえるためには故意・過失が必要であり、不貞行為では相手方の婚姻関係を傷つけるという意思が必要とされるためです。
もちろん、浮気相手が「独身だと思っていた」と主張すればなんでも通るものではなく、「夫が指輪を左手の薬指に嵌めているところを見ていた」「同じ職場であり、婚姻関係についても話を聞いていた」「夫が浮気相手に家族のことを話していた」などの事情がある場合には、浮気相手も婚姻関係を認識していたとして慰謝料請求は認められることとなります。
【取材協力弁護士】
今泉 圭介(いまいずみ・けいすけ)弁護士
法政大学法学部法律学科、首都大学東京法科大学院(現・東京都立大学)卒業。弁護士として、2016年より茨城県にて活動。離婚問題をはじめとして、交通事故・相続・債務整理など広く扱っている。弁護士会としては市民のための法教育委員会、子どもの権利委員会等に所属。
事務所名:弁護士法人みらい中央法律事務所
事務所URL:https://miraichuo-law.com/
配信: 弁護士ドットコム